〈ボードゲームスペースポンポン〉は、本八戸駅南口から中心街方面へ向かって徒歩1分の場所にあります。

店舗入口には、骨董品がずらり……
「ボードゲーム専門店の看板は出てるけど、骨董品屋さんに来ちゃったかも?」と少し戸惑いながら、店の奥に直進しました。

すると、ボードゲーム専用テーブルが姿を現します。
聞けば、骨董品店の店主さんとスペースを分けて併設営業しているのだとか。入ってみないとわからない隠れ家的な空間に、好奇心をくすぐられますね。

さらに奥に進むと、5名以上から利用できる貸し切りの個室もありました。

〈ボードゲームスペースポンポン〉では、タロットカード・オラクルカード(神のお告げやメッセージを受け取るカード)の販売も行っています。品揃えは約200種類で、東北最大級の規模なのだそうです。

ボードゲームの利用料金は、一般スペース・個室ともに30分ごとに設定されています。高校生以下は半額で、学生さんも通いやすい料金設定です。
飲食物も自由に持ち込めて、気軽に立ち寄れるのも嬉しいポイント。


店舗には世界各国のボードゲームが800種類以上揃っています。この中から好きなボードゲームを選べます。
〈ボードゲームスペースポンポン〉では、ボードゲーム初心者も大歓迎です。どれにしようか迷ったら、人数やゲームの目的(協力系・対戦系・心理戦系etc)に応じて秋山さんがおすすめのものをセレクトしてくれます。
やり方を知らないゲームでも、ルールをわかりやすく教えてくれるので安心です。

ボードゲーム初心者の取材班も秋山さんおすすめの『ito』で遊ばせてもらいました。
『ito』は、数字を“感覚で”伝え合う協力型のボードゲームです。テーマに沿った言葉で自分の手札の数字を表現し、小さい順になるように全員で手札のカードを出していきます。

このときのテーマは「ゾンビと戦うときの武器」でした。小さい数字のカードを持っている人は「ピンポン玉」、大きい数字の人は「ダイナマイト」と自分の数字を表していました。
協力戦なので「どっちのほうが数字大きいかな…」と会話しながら、互いの数字を予測する過程が楽しかったです。
『ito』以外にも、対戦系のボードゲームを2種類ほど体験しましたが、どれも大盛り上がり! ボードゲームの沼にハマる人の気持ちがよくわかりました。
八戸で0→1を! ボードゲーム専門店の誕生秘話
秋山さんの前職は八戸市内にある製造業の会社。
一部上場の大きな会社で、待遇面には満足しており、17年間勤めたそうです。
しかし、あるときふと「この仕事に自分の人生を捧げちゃっていいのか」と自問自答し、退職を決意したとのこと。
最初に始めた事業は〈ボードゲームスペースポンポン〉の店舗2階にある猫カフェ。そのとき、0から1のお店を作るやりがいを感じて新たに別の事業にも挑戦したくなったと秋山さんは言います。
この頃、秋山さんは友人から借りてはじめてボードゲームで遊びます。そして「なんだ! この面白さは!」と、ボードゲームに魅力と可能性を感じて、八戸に存在しないボードゲーム専門店の立ち上げに踏み切ったそうです。


現在では店舗で開催されるボードゲームやポーカーの大会では多くの参加者が集まるほど、大盛況のお店に。
もうひとつのきっかけは、友人の「八戸ってもうみんなで集まって遊べるようなところないよな」のひと言。
昔から友人と集まってワイワイ遊ぶのが好きな秋山さんは〈ボードゲームスペースポンポン〉を八戸の遊び場にしようと決めたのだそうです。
ボードゲームの力“元気・つながり・感動”
お客さんが楽しむ姿から日々“元気・つながり・感動”を感じていると秋山さんは言います。
この言葉は秋山さんが独立時に参考にした経営学の書籍に書かれていたフレーズです。

持っているのは、友人から借りて秋山さんが初めて遊んだボードゲームの『CAT』(手札の絵柄を揃える対戦系の遊び)。『CAT』で遊んだ経験がなければ今の〈ボードゲームスペースポンポン〉はなかったかもしれません。
今でもこの言葉は秋山さんが仕事をする上で大切にされているモットーであり、さまざまな場面で『元気・つながり・感動』を体験されているのだとか。
例えば、〈ボードゲームスペースポンポン〉で出会ったお客さん同士が付き合って、そのまま結婚まで至ったり。また、引っ込み思案だった小学生のお子さんが、大人のお客さんにまじって遊ぶうちに社交的になって、ゲームの準備や片付けを率先してやるようになったり。
人と人のつながりから生まれる温かいエピソードに、秋山さん自身も元気や感動をもらっているそうです。
「思い切り楽しんで、たくさん笑ってもらえれば、それだけで十分」
普段どんなことを意識してお客さまと接しているか秋山さんに質問したところ、返ってきたのが見出しの言葉でした。
まずは、ボードゲームの楽しさをとことん知ってもらう。その後にボードゲームの魅力や効果を感じてもらえれば良いのだと秋山さんは話します。
ボードゲームはただ楽しいだけではありません。
ゲームを通して、集中力・記憶力・発想力などが鍛えられます。複数人でプレイするなかで協調性や感情をコントロールする力など、人生を歩む上で大切なスキルも身につきます。
そんな、ボードゲームの効果は社会でも評価されているとのこと。秋山さんも学校や公民館からイベント講師として招かれるようになり、ボードゲームの社会的意義をさらに実感したそうです。

『KLASK』(マグネットを使って球を操作する対戦系の遊び)をプレイ中の様子。負けないためにあちこちに目を配り、普段使わない頭の部分をフル回転させて白熱しました。
現代社会では、スマートフォンの普及やSNSの浸透によって人と直接会話する機会が減っています。また、大人になると、みんなで盛り上がる経験も自然と少なくなります。
そんな環境だからこそ溜まりやすいストレスを、ボードゲームで解消してほしいと語る秋山さん。
ボードゲームが持つ力と、“楽しさを伝えたい”という秋山さんの純粋な気持ちが重なると、そこには溢れんばかりの人の笑顔が広がるのだと、今回の取材を通して実感しました。
あなたも特別な時間を過ごせる〈ボードゲームスペースポンポン〉に訪れてみてはいかがでしょうか。