創業80余年の〈クスリの大学堂〉が担う、健康とまちの土台づくり。【三日町】

市民の健康の土台づくりのプロでありながら、三日町の繁栄の土台づくりも担っている〈クスリの大学堂〉。同店なくして三日町はなし、と言っても過言ではありません。今回は3代目の類家徳久さんから、〈クスリの大学堂〉の歴史と今と昔の中心商店街についてお話を伺ってきました。

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小田桐咲-amy-odagiri

1996年生まれ。直感と勢いで生きる牡羊座。青森県八戸市出身。5歳から武術太極拳(カンフー)を嗜んでおり、2019年の全日本チャンピオン。2026年のあおもり国スポでの優勝を目指し、20208月にUターン。『海猫ふれんず』として地元の情報も発信中。育ててくれた街や人に感謝して、その恩を返していけるように活動していきたいです。
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〈さくら野百貨店 八戸店〉1階にて、約80年もの長い間、三日町を支え続けてきているのは〈クスリの大学堂〉です。

〈クスリの大学堂〉は、「安心・安全な薬の提供」を掲げている医薬品販売店です。類家大学堂薬局では、〈クスリの大学堂〉の他に、調剤薬局の〈大学堂薬局柏崎〉と〈こかぐち薬局〉、中古車販売の〈ウィリングオート〉を経営しています。

現在、これら大学堂グループの代表をつとめるのは3代目の類家徳久(とくひさ)さん。三日町を盛り上げる三栄会の理事長でもあります。

類家徳久さん(写真左)と店長の藤川直樹さん(写真右)。

〈クスリの大学堂〉の歴史が始まったのは、1940(昭和15)年。間口3間の店舗でスタートし、創業当初は薬品の卸業をしていました。創業者である類家専之丞(るいけ せんのじょう)さんは、自転車の荷台に商品を乗せ、市内や八戸市周辺を回っていたのだそう。かなりの距離を駆け回っていたそうです(笑)。

当時は、現在店舗がある位置に自宅があり、表通りに薬局としての窓口を設置していました。ですが、1979年に大学堂ビルを建設した際に、〈ロッテリア 三日町店〉が表通り側のテナントに入ったため、現在の位置に店舗を移動させたのだそう。そこから変わらぬ場所で、薬局として商売を続けてきましたが、2020年に薬局から医薬品販売に業態を切り替え、今に至ります。

徳久さんが3代目に就任したのは、2021年のこと。2代目社長で、現会長である類家徳昌(とくまさ)さんは、初代社長・専之丞さんの急逝をうけ、十分な引き継ぎがないながらも受け継いだのだそう。そこから約40年弱、大学堂グループを牽引してきましたが、ご年齢のこともあり、ついに徳久さんにそのバトンを引き継がれました。とはいえ、実質の経営スタイルは変わっていないようで、親子2代で大学堂グループを経営しているそうです。

 

老舗の経験から、身体の土台づくりをサポート。

レジ前のおすすめコーナー。

40年弱〈クスリの大学堂〉につとめているという藤川店長。「〈クスリの大学堂〉では、みなさんの健康の土台づくりをするお手伝いをしています」といいます。

人の身体の特徴は十人十色ですから、症状が同じでも根本的な原因が異なることが多くあるのだそう。薬を飲んで症状を緩和させることも大切なことですが、自分の身体のことをよく知り、しっかりとした土台づくりをすることが一番大切なのです。

〈クスリの大学堂〉では、何十年にも渡ってお客さんの健康相談にのってきました。「ですから、その人にあった薬や健康の土台づくりの方法をお伝えすることができます」と、藤川店長。これが老舗の安心感というやつか……。

ちなみに、藤川店長のおすすめは「キヨーレオピン」。熟成されたニンニク抽出液を配合した滋養強壮剤です。肉体疲労などに効果のある生薬やビタミンB1などとともに、弱った身体にもやさしく働きかけ、身体のバランスをゆっくり整えてくれます。

近年稀に見る薬液を自分で入れるタイプ。手慣れた様子でカプセルに薬液を注入する藤川店長。入れたらすぐに飲まないと、カプセルが溶けてしまうのだそう。筆者、このタイプの医薬品は初めて見ました!

「元気は、最大の防御である」と掲げられており、まさしく身体の土台づくりにうってつけの商品かもしれません。

 

変わっていく中心商店街の需要。

創業から約80年。長く中心街を見守ってきた〈クスリの大学堂〉ですが、今と昔の中心商店街の変化について、徳久さんに伺ってみました。

「とにかく人が減っていると感じています。以前は、肩がぶつかり合うくらい人がたくさん行き交っていたものですが、今はそんなこともなく、寂しいですね」

ですが、祭りやイベントが開かれれば、たくさんの人が集まり、夜になると飲みに来る人たちで中心商店街は賑わいをみせています。それらをふまえると、単純に中心商店街に来る人が減ったのではなく、中心商店街に対する昼の需要が変化しているのではないかと、徳久さんは考えます。

現在は、八戸市の至るところにショッピングモールやスーパー、ドラッグストアなどが点在しているため、買い物をしたいお客さんが分散されている印象があります。ましてや、ネットショッピングも当たり前の時代であり、お買い物目的の人が中心商店街に来なくなるのも、しかたのないことなのかもしれません。

その一方で、徳久さんが着目しているのは、続々と建設されているマンションたち。マンションはこれからもどんどん建てられていく予定であり、今後は中心商店街に住む人口が増えていくはずだと考えているようです。

特別なお買い物をしに来る人が多かった中心商店街は、日常の過ごしやすさを求められる中心商店街に変わっていくのかもしれません。マンションに住む人にとっては、わざわざ郊外のショッピングモールに出向くことなく、ある程度のものを中心商店街で揃えることができる利便性も、重要なポイントです。

また、徳久さんは中心商店街の盛り上げ方についても、変化していく可能性があると感じているそう。今まではその地域で商売している人たちが、お客さんに来てもらうための仕掛けとして、イベントや企画を開催していました。ですが、中心商店街で商売をする人が減少していることを鑑みると、自分たちだけでどうにかしようとするのではなく、地域外の人たちも巻き込んで共に盛り上げていくことが必要だと考えています。

八戸市の中心商店街の賑わい創出の取り組みとして「中心街ストリートデザイン事業」が始まることもあり、表通りの歩道が広くなれば、新たな出店や市民のパフォーマンスをすることが可能になります。地域の人だけではなく、いろんな人が集まって、中心商店街を盛り上げていく可能性を、徳久さんは感じているのです。

サトちゃんは〈佐藤製薬〉からいただいたものだそう。「僕に会いにきてくれることが、まちの賑わいにもなる……ってこと!?」とでもいいたげな表情。

「三栄会の会長として、また、三日町で長く商売を続けてきた〈クスリの大学堂〉の3代目として、三日町の商売人として誇りを持って、三日町を守り、盛り上げていく使命があると考えています」と語る徳久さん。

「八戸に住んでいる人たちが、自発的に地域のために動くような活動の和が広がっていくことが“地域活性化”といえる、としたうえで、今後は誰もやったことがないようなことに挑戦していきたい」といいます。もちろん経済面での不安や心配もあると思います。ですが、経済的な部分はあとからついてくるもの。そういった活動を求めて、外部から人が集まるほど先進的で面白いことに取り組み、地域活性化の力になることを徳久さんは目指しています。

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