【はちまちオリジナル】八戸しょーてん小僧サイダーができました!
『はちまち』が〈八戸製氷冷蔵〉にお願いしてつくってもらった「八戸しょーてん小僧サイダー」が、7月22日・海の日、ついにお披露目! 商品の誕生までの開発秘話をご紹介します。
2021年2月某日。それは、『はちまち』を運営している〈金入〉の社長が発した、こんな提案からはじまった。
「八戸製氷さんにお願いして、しょーてん小僧のラベルでバナナサイダーつくってもらえばいいんじゃない?」
「八戸製氷さん」とは、八戸市白銀に工場を構える〈八戸製氷冷蔵〉のこと。中心商店街にある〈八戸酒類(旧・河内屋橋本合名会社)〉の六代目・橋本八右衛門が大正10(1921)年に創業した関連会社だ。
名水“三島の湧水”を使用した氷や清涼飲料水を製造・販売しており、「三島シトロン」や「みしまバナナサイダー」は、八戸市民に「みしまサイダー」の愛称で親しまれている。
100年もの歴史を持つ「三島シトロン」(左)、バナナ風味の「みしまバナナサイダー」(右)。石灰質の地層を通る硬水を、特殊な装置で軟水に変えて商品づくりを行っている。
大正10年生まれの大先輩に、こともあろうに八戸で愛されている「みしまバナナサイダー」を使って、「別の何かを連想させるサイダー」をつくってほしいとお願いするなんて、不躾すぎやしないかい!? と、常識人の編集長こと私は危惧した。
しかも、ラベルのモチーフにしようとしている『はちまち』のオリジナルキャラ「八戸しょーてん小僧」は、Twitterで「にょ〜」や「じょ〜」と、これまた何かの擬音を連想させる語尾を使っている。
ダメもとで、サイダーの発案者である〈金入〉の金入健雄社長から、〈八戸酒類〉の九代目・橋本八右衛門社長に打診してもらうことに。
すると数日後、編集部のSlackにこんなメッセージが。
うそだろ、懐が深い!!
というか、あんなに私が苦労して「何かを連想させる」ってボカして書いてきたのに、社長が「しょうべんサイダー」と書いてしまっているが、タイプミスに違いない。私たちは、八戸製氷さんの品位を落とすわけにはいかないのだ。あくまでも「しょーてん小僧サイダー」だ。
そんなわけでなんとか許可をいただけたものの、社長同士の口約束というトップダウン方式だったことで、現場レベルでの話し合いができておらず、商品化までに紆余曲折あった。
これは、どうしてもオリジナルサイダーをつくりたいはちまち編集部と、八戸製氷さんとの攻防の物語である。
バナナ味はNG、さてどうする?
5月7日。この時点では、製品化について八戸製氷さんの社内でまだ協議中。はちまちで商品開発を担当する〈金入〉の矢神結花と、〈八戸製氷冷蔵〉の滝川さんは、ラベルについてこんなやりとりをしている。
「販路についての懸念部分を取り除けるよう努力する」と熱意を込めて伝えているが、八戸製氷さん、おそらく販路じゃなくてネーミングとか色を懸念していると思う……。
おっしゃっていること、めちゃくちゃわかる。だって、「みしまバナナサイダー」が長年培ってきたイメージってもんがあるもの。
これはどうやってもひっくり返らなそうなので、レモンフレーバーでお願いすることに。色や味の方向性はこちらに決めさせてくれるという。
そこで、アレの色について検索したところ、濃すぎる黄色は「脱水しているとき」や「ビタミン剤を飲んだあと」など、不健康そうなワードが並ぶので、薄めのきれいな黄色にしてもらうことに。レモンは甘酸っぱい初恋のようなイメージ。
5月25日。編集部に試作が届く。
発泡している……!
「みしまバナナサイダー」のような優しい甘さに、レモンの酸味。口の中で炭酸がはじける。この方向性でいきましょう! と、みな納得。ラベルの制作を進めていくことにした。
オマージュしたラベルのボーダーラインは。
5月28日。ラベル案を八戸製氷さんにおそるおそる送ってみる。
「まだまだ仮の状態」と逃げ道をつくりつつ、オマージュがどこまで可能なのか、探りを入れている。そのときに添付したデータがこれ。
「三島シトロン」をオマージュしたラベル案だ。めちゃくちゃ怒られたらどうしよう……。これを最大限として、八戸製氷さんにどこまで譲歩してもらえるか、境界線を探っていく必要がある。すると、さっそく返信が。
このメールが送られてきたとき、二度見した。
「シトロンのラベルは三島川の流れをイメージしたものなのですが、
私の個人的な感想では、小僧の小便が滲んでいるように見えるイメージだなあと思ってしまいました。」
真面目なビジネスメールの文面なのに、内容がふざけているようにしか見えない。しかも「小便」って言っちゃってるし。
とりあえず、静かに怒っているのか、それとも(笑)的なことなのか、どういうテンションなのかが判断がつきにくいぞ。
そこで、いろいろと試し、、
もう全面に小僧を出したバージョン。
シトロンが緑色なので水色ならどうかなと挑戦。
ピンク色で目立たせていたところをシンプルに。
八戸製氷さんも「三島シトロン」の緑色ではなく、青色であればOKとのことで納得してくださり、これで、ほぼFIX!
6月30日。ラベルを依頼した、印刷会社さんから「八戸しょーてん小僧サイダー」のラベルが納品される。
おおお……! ついにラベルができた!
試作サイダーに貼り付けてみる。これがほぼ完成版だぁぁぁぁ!
そして、奇しくもこの日、八戸市役所前のロータリーの改修工事により一時撤去されていた、本家の小便小僧が帰ってきた。
新しい小僧は押しボタン式だよ!
〈八戸製氷冷蔵〉で、運命のボトル詰めの日。
7月6日。八戸製氷さんから、サイダーの製造日がこの日になったとの一報を受け、見学させてもらうことに。午前中のボトリングには別の取材があり間に合わず(悔しい)、午後ラベル貼りを見せていただく。
ここが〈八戸製氷冷蔵〉の工場。
工場に着くと、すでにボトリングされたサイダーが積み上げられていた。
ラベルを貼るための機械に、しょーてん小僧サイダーのラベルがセッティングされている……!
息の合った連携プレーにより、どんどんラベリングされていく。
今回、「八戸しょーてん小僧サイダー」のラベル作業をしてくださった〈八戸製氷冷蔵〉のパート従業員、小泉さん、松田さん、長谷部さんの3人にお話しを聞いた。
ーーこんな商品をつくらせてしまってすみません……、商品化を聞いたときどう思われましたか?
小泉さん:こういう商品をつくるって聞いたとき、何言ってるんだ? って思った〜あはは(笑)。このラベルに黄色いサイダーはすごいね。
ーーバナナサイダーはイメージがあるからダメってことで、レモン味になりました。
松田さん:その時期ごとに変えてもいいんじゃない? 「秋バージョン」とか。あとレモンだけなじゃくてエナジードリンクとかさ。
長谷部さん:色の濃さもいろいろあっていいよね、ちょっと濁ったのとか、もっと濃いのとかさ。
ーーえっ、いいんですか!
長谷部さん:ちょっと待って、私たちただのパートだから、何勝手なこと言ってんだ! って怒られちゃうとまずいわ。
最後に、〈八戸製氷冷蔵〉の滝川さんにお話しを聞きに行く。商品化にあたり、ずっとやりとりをさせていただいたラスボス的な存在である。
ーーこれまでいろいろと譲歩していただきありがとうございました。最初に商品開発の話があったとき、どう思われましたか?
滝川さん:……正気なのかな? って思いました。
ーーですよね、本当にすみません! バナナサイダーが築いてきたイメージもありますしね。
滝川さん:そうですね、バナナサイダーが別のイメージにすり替えられてしまうと困るので……。
ーーレモンサイダーもおいしく仕上げていただきありがとうございました! このことを記事にしてもいいですか?
滝川さん:うーん、まぁ……。内容によりますが(笑)。たくさん売ってください!
というわけで、まるごと記事にさせていただいた。ここまで書くことを許してくれた八戸製氷さんのメンツを守るためにも売らないとまずい。約500本つくったのだけれど、金入の偉い人に「これは本当に売れるのか」と圧をかけられたので、売らないとまずい(怒られる)。
心優しいみなさんどうか買ってください、よろしくお願いします!!!!
こんな写真も撮れるよ。
サイダーとして商品化されるしょーてん小僧は、「小僧のマイナスイオンをギュッととじこめたにょ。みんないやされてにょ~~🥰」と話していた。
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