武家屋敷をリノベーション。過去と現代が重なる〈HAPPOYA〉で八戸ならではの体験を。【上徒士町】
江戸時代の面影が色濃く残る八戸市中心街の一角、上徒士町(かみかちしちょう)に、2025年4月、元武家屋敷の宿泊施設〈HAPPOYA〉がオープンしました。歴史ある建物と現代の快適さが融合した宿で、八戸でしか体験できない時間を過ごしてみませんか?
江戸時代の面影が色濃く残る八戸市中心街の一角、上徒士町(かみかちしちょう)に、2025年4月、元武家屋敷の宿泊施設〈HAPPOYA〉がオープンしました。歴史ある建物と現代の快適さが融合した宿で、八戸でしか体験できない時間を過ごしてみませんか?

バス停「新荒町」より徒歩1分。「歴史に泊まり、文化を味わう体験」がコンセプトの〈HAPPOYA〉は、築100年以上の武家屋敷をリノベーションした宿泊施設です。
「武家屋敷をリノベーション」のワードが強すぎて、湧き出す疑問は尽きませんが、百聞は一見にしかず。まずは施設内を見学させていただきましょう!

さて、ここからは〈HAPPOYA〉の女将である高嶋悠花さんに、客室の案内をしていただきます。高嶋さん、よろしくお願いします!

〈HAPPOYA〉の客室は、写真左側の「四方の間」と右側の「八方の間」の全2室。国内外問わず、四方八方からたくさんの人が集まる場所であってほしい、そんな願いが込められています。

歴史の重みを感じる戸を開けると、まず現れるのが玄関の間。こちらの写真は「八方の間」ですが、車椅子やベビーカーでも無理なく入室できそうなほど、ゆとりのある広さが確保されています。

「八方の間」の玄関には、木彫りの犬と思しき置物が鎮座しています。もともと武家屋敷においてあったものらしく、スタッフさんたちが清掃に入るときは、必ずこの子たちに一礼をしてから入るのだとか。私も高嶋さんに倣い、お邪魔します! の一礼!

「八方の間」の1室。
どちらの部屋も天井が高く開放的で、大きな窓から差し込む光が穏やかな気持ちにさせてくれます。昔の日本建築ならではの居心地のよさが味わえる空間です。日が暮れると、庭園は柔らかな光でライトアップされるらしく、夜になるとまた違った雰囲気で過ごすことができそう。

「四方の間」の写真。ベッド横のコンセントは、個人的にポイントが高い。
「四方の間」は最大3名まで、「八方の間」はベッドルームが2室あるため最大6名まで宿泊が可能です。料金は「四方の間」は1泊2名 25,000円〜、「八方の間」は1泊4名 45,000円〜となっています。どちらも1名の増減ごとに±5,000円で対応します。繁忙期・イベント開催期間などは料金が通常と異なる場合があります。
こぢんまりとした「四方の間」は友人同士やカップルで旅行に、「八方の間」は家族や大人数の宿泊で、一棟貸しの気分を味わうのがおすすめ。


「八方の間」のベッドルーム。
部屋の中の大きな梁や柱、障子などは、リノベーションの際に取り壊すことなく、そのまま活かされています。木のぬくもりをあたたかく感じる一方で、長い歴史を乗り越えてこの建物を支えてきた貫禄に、尊敬の念を抱かずにはいられません。
ちなみに、客室の玄関の戸や〈HAPPOYA〉の暖簾がかかった門も100年前のものなのだそう!

100年前にはこの場所に武士が住んでいたのかと思うと、時を超えて同じ空気を吸っているような、不思議な気分になってきます。
梁さんたち、100年の月日を経てどうだい? 昔と変わらず、居心地はいいかい?

梁「いやはや、かのような可動式行燈が備わるとは、夢にも思わなんだ。時代とはかくも移ろうものか!」
歴史に思いを馳せるレトロなベッドルームとは対照的に、バスルームは非常にモダンなつくりになっていました。

洗面所は、まさかここが元武家屋敷だとは思えないほど現代的なデザインに! 朝も夜も落ち着いて、快適に身支度ができそうです。非常に広々としているので、化粧道具やケアアイテムを多く持ち歩いてしまう私のようなみなさんでも、全部広げて準備が可能です。
ドライヤー、タオル、ハンドソープなどだけでなく、クレンジング・化粧水・乳液がセットになったスキンケアアイテムなど、アメニティもばっちり備え付けられています。

バスルームは浴槽と洗い場が分かれた日本式! 広くて深い浴槽は、足を伸ばしてゆったりと旅の疲れを癒せそうです。シャンプー、コンディショナー、ボディソープも完備。

〈HAPPOYA〉の同じ武家屋敷内には、飲食店の〈八方餃子〉が併設されています。同店は東京の人気餃子店〈野方餃子〉の系列店で、四角い羽が特徴的な「焼き餃子(6個入り)」(594円)が看板メニュー。実は〈八方餃子〉の餃子には、餃子の具材代表と言っても過言ではないニラとニンニクが入っていません。香りの強い素材をあえて外すことで、小さい子どもからご年配の方まで、幅広い年代の人が食べやすい餃子になっているんですね。
また、焼き機に南部鉄器を採用していることから、肉の甘みがギュッと閉じ込められ、厳選された素材の旨みがダイレクトに伝わってきます。

右上から時計回りに「麻婆豆腐」、「焼き餃子」、「麻辣担々水餃子」。
他にも「麻辣担々水餃子(6個入り)」(748円)や「麻婆豆腐」(968円)などの中華メニューやアルコールメニューも豊富で、グラスを傾けながら、旅の余韻を語り合うひとときが過ごせそうです。
〈HAPPOYA〉は、多くの飲食店が集う中心街へ徒歩数分とアクセスが良いので、1軒目を〈八方餃子〉で済ませたら、腹ごなしの散歩がてらぜひ中心街へどうぞ。飲食店の灯りが、旅するあなたを誘います。

ちなみに〈八方餃子〉のメニューはテイクアウトして客室で食べることも可能です。高嶋さんのおすすめは「自家製杏仁豆腐」(495円)。とろっとした食感の杏仁豆腐は、お風呂上がりのチルタイムにぴったり。甘いものを食べて一息つくのもいいかもしれません。

八戸市ホームページより引用。
江戸時代の地図でも迷わないと言われるほど、町の骨格や地名がそのまま残されている八戸市の中心街エリア。現在の八戸市庁がある「内丸」一帯には、かつて八戸城があったとされ、そこを起点に南へ向かって町が広がっていきました。当時は身分によって住む場所が分けられており、その名残が今の地名にも受け継がれています。
〈HAPPOYA〉がある上徒士町(かみかちしちょう)の「徒士(かち)」とは、武士の身分を表す言葉。江戸時代、このあたりは下・中級武士が暮らすエリアだったといわれています。この場所に武家屋敷が残っていたのは、そんな歴史があったからなんですね。

〈八方餃子〉には残されていた武具が飾られている。武家屋敷っぽい。
オーナーの大釜和也さんは北海道出身。アイスホッケーの遠征で何度も八戸を訪れるなか、知人の紹介をきっかけにこの武家屋敷と出合ったそうです。「この建物をなんとか次の世代へ残したい」という大釜さんの思いから、〈HAPPOYA〉・〈八方餃子〉の開業プロジェクトが始まりました。

オープン後は、インバウンド客を中心に、県内外から多くの人が訪れる宿となりました。近年の旅行や観光では、「モノ」よりも「体験」に価値を見出す人が増えています。障子や畳、日本式バスルームを備えた客室、窓の外に広がる美しい日本庭園。五感を通して日本の美を味わえることが、ここでの滞在を特別な「体験」にしています。武家屋敷に泊まること自体が、〈HAPPOYA〉ならではの魅力なのです。

〈HAPPOYA〉の庭園は、第34回(令和7年度)八戸市景観賞を受賞しているほどの美しさです。
中心街へ赴けば、八戸の文化のひとつである横丁文化を体験することもできます。おいしい酒や食事、あたたかい人情に触れて、時間を忘れてはしご酒を楽しむのも一興です。
また、中心街には各地名の由来やエリアの歴史を紹介する小さな柱が、ところどころに設置されています。中心街へ向かいながら、江戸時代の八戸に思いを馳せるのも楽しみ方のひとつかもしれません。

なお、上徒士町の柱は、数年前の事故によって破損し、現在は撤去されているそうです。
公共交通機関を使えば、館鼻岸壁朝市や蕪島といった郊外の観光地へも足を延ばすこともできます。
八戸に滞在するからには、そんな「八戸ならでは」の体験を存分に楽しみ、宿に戻ってひと息つく。そんな時間を過ごしてほしいと〈HAPPOYA〉は考えています。

現在は素泊まりプランのみの同店。今後は朝の時間を楽しめたり地域の人に気軽に来てもらえたりする宿泊プランを増やしていきたいと考えているそうです。
「地元の方にも、観光で訪れる方にも愛される〈HAPPOYA〉にしていくために、八戸の歴史や文化を伝え、発信し、四方八方からたくさんの人が集まる場所にしていきたいです」と高嶋さん。
元武家屋敷の〈HAPPOYA〉は100年の時を超え、現代のみなさんが訪れるのを静かに待っています。日本の美しさと八戸の文化を行き来しながら、ここでしか味わえない体験をしてみませんか?