八戸初コワーキングカフェ〈エスタシオン〉大公開! まちづくりの“駅”として目指す姿とは。【番町】
番町に新しくオープンした〈コワーキングカフェ エスタシオン〉。美術館そばに突如現れたおしゃれなカフェは、市民の注目度ナンバーワン! 一体、中はどうなっているのか? どうしてここにできたのか? その謎を解明するために、〈エスタシオン〉に取材に行ってきました!
番町に新しくオープンした〈コワーキングカフェ エスタシオン〉。美術館そばに突如現れたおしゃれなカフェは、市民の注目度ナンバーワン! 一体、中はどうなっているのか? どうしてここにできたのか? その謎を解明するために、〈エスタシオン〉に取材に行ってきました!
八戸市美術館横の通り沿いにオープンした〈コワーキングカフェ エスタシオン〉。
シックな色使いの中に輝くBeFMの黄色い看板がチャーミングです。銀枠に縁取られた全面ガラス張りの外観は、どことなく都会的な雰囲気を醸し出しており、ついつい中を覗いてみたくなってしまいます。
中に入ってみたいけど……、メニューは? お値段は? ていうかコワーキングって何⁉︎
今回は、未だ謎に包まれている(?)〈エスタシオン〉に行ってきました!
入り口のドアを開けると、落ち着いた空間が私たちを優しく出迎えてくれます。
入って手前側のスペースには注文カウンターと座席があり、カフェのようになっていますが、奥の方にはオフィスチェアが並んでいます。
実は〈エスタシオン〉は、「カフェ」「シェアキッチン」「コワーキングスペース」「シェアオフィス・会議室」の4つの機能が備えられた、高機能カフェなのです!
それぞれの機能について、順番に紹介していきますね。
入って一番手前の空間は、カフェエリア。
落ち着いた雰囲気にマッチした〈マルニ木工〉の職人が仕上げた「HIROSHIMA」チェアや、〈UCHIDA〉〈OLIVER〉製のソファやテーブルが並び、大きな窓ガラスから差し込む光は明るく、柔らかな空間を演出しています。
カウンターではフードやドリンクを販売しています。
ショーケースの上段は、「バスクチーズケーキ」380円。アルパジョンとの共同開発された、エスタシオンのオリジナルスイーツです。下段は、中心街で飲食店を営む〈origo〉の「カヌレ」250円。しっとりとした舌触りと、ほんのり香るラムの風味が、コーヒーとよく合います。
店内にはソファ席もあります。
椅子もソファも、デザイン性と使いやすさが両立したものばかり! 長時間座っていても腰への負担を感じることがありません。時間を忘れて、リラックスタイムを過ごすことができそう。
また、ドリンクも「ホットコーヒー」350円からと王道価格。
青森県のブナの木を利用した〈BUNACO〉のフロアースタンドランプと、モルタルでレンガ調に仕上げた壁面。神は細部に宿るとはこのことか。
コーヒーとお気に入りの本を片手に、自分の時間を楽しむもよし。美術館帰りにお友達とお茶をしながら、のんびり過ごすのもよし。
中心街の新しいカフェとして、注目が集まりそうです。
〈エスタシオン〉には、シェアキッチンサービスがあります。同店では特定の事業者との契約はなく、いわゆる専属のシェフが常駐しているわけではありません。しかしながら、基本的なキッチン設備が整っており、飲食店営業許可を取得しているので、複数の事業者が共同で利用することができるのです。
昨今では、ゴーストレストランが話題になっています。ゴーストレストランとは、お店を持たないデリバリー専門の飲食店のこと。コロナ禍でデリバリーの需要が高まった現代に生まれた、新しい飲食店の形態です。日本では、その普及率は1%に満たないといわれていますが、海外ではアメリカや韓国で広く普及しているのだそう。近いうちに、日本にも取り入れられそうな予感!
〈エスタシオン〉のシェアキッチンサービスは、コロナ禍でお店を出したくても出せない方や、新店舗を出してみたい方など、飲食店で新たな挑戦しようとしている人たちを応援できるサービスなのです。
利用客は、期間限定で、地域で飲食店を営んでいる方のさまざまな料理が楽しめます。
飲食店の事業者は新たな取り組みに挑戦でき、私たちはそれを美味しく味わえる……。双方ウィンウィンの画期的なサービスですね。
観葉植物に優しく仕切られたカフェエリアの奥は、コワーキングスペースになっています。
そもそも、コワーキングスペースとは何なのでしょう? 八戸ではあまり聞き慣れない言葉です。
コワーキングスペースとは、英語で書くと“CO-Working space”。“CO”は「共同の」という意味を持っており、その後ろに“Working space(=働く場所)”が続くことから、「共同で仕事をする場所」の意味があります。
最近は、テレワークやリモートワークが普及し、起業家やフリーランス、在宅勤務の会社員など、インターネットの環境さえ整っていれば、場所に縛られずに働ける人が増えています。
自宅でも仕事は可能ですが、リラックスした気持ちでいられる反面、集中力を保ちにくかったり、家族がいる手前リモート会議がしにくかったりと、仕事に支障が出てしまう面もあるようです。
そういった人たちにとって、コワーキングスペースはいわば第2の仕事場。
備え付けのデスクや個室を利用することで集中して仕事ができ、リモート会議や対面での打ち合わせももちろんOK。また、コワーキングスペースには所属の異なる人が集まっていますから、人脈を広げたり、新たなビジネスチャンスに繋げたりと、さまざまな可能性に富んでいるのです!
〈エスタシオン〉のコワーキングスペースでは、2種類のスペースを利用することができます。
ひとつめは、オープン席。対面8席のフリーデスクと6つのカウンター席が用意されています。
こちらはフリーデスク。オープンな席なので、同じ会社で働く同僚のように、隣やお向かいさんにも気軽に話しかけられそうですね。
フリーデスクの後ろには、カウンター席が6席用意されています。日当たり良好で、穏やかな気持ちで仕事が進められそうです。高さも調節できますし、背もたれにはジャケットをかけられるチェアハンガー付きです。
なんといっても私が驚いたのは、椅子の座り心地の良さです。
背もたれが! すごくよく倒れます(力説)!!
仕事に疲れたときの息の抜きやすさナンバーワンの椅子です。これでもう一気にリラックスできて、仕事が捗ってしまいますね。間違いない。
オープン席を抜けて、左手に進むと、もうひとつのコワーキングスペースであるブース席が現れます。
ブース席は、通路側以外が壁で仕切られた半個室になっています。セミプライベート感があり、集中作業や簡単な打ち合わせにぴったりです。
向かって右手側には、定員4名のソファ席と、定員1名のデスクが。
左手側には定員2名のソファ席が並んでいます。
料金はオープン席とブース席でそれぞれ異なります。
オープン席では、ひとり2時間660円、1日1,650円。ブース席では、2時間770円で、1日1,980円です。それぞれフリードリンクコーナー付きで、その他のカフェのドリンクメニューは20%オフで利用することができます。
コピー機やシュレッダーも使えます。オフィスに揃っているものが揃っているんですね。
ブース席を抜けて、店内奥にあるエレベーターで3階に上がると、シェアオフィスや会議室が並んでいます。
3階の通路右手に並ぶのはシェアオフィス。月額料金で借りることができ、時間制限を気にせずに、個室で集中したい人におすすめです。
全部で4部屋あり、それぞれ壁紙の色が違うんです! 会社カラーや推しカラーのお部屋で、テンションが上がって作業が進みそう。
会議室は、小会議室と大会議室の2種類。
いずれもホワイトボードやプロジェクターの利用ができるほか、空気清浄機も完備しており、除菌対策もばっちりです。
こちらは小会議室。1時間単位でレンタルでき、料金は1時間1,100円です。
対面で座ると、最大6名まで収容可能です。少人数の会議やリモート会議の会場として最適ですね。
会議室といえば、蛍光灯の電気で室内が照らされているイメージがありますが、エスタシオンの小会議室は窓が大きく、太陽の光がよく差し込んでいました。
人工的な明るさではなく、自然な明るさで保たれた小会議室では、煮詰まることのないスムーズな会議ができそうです。
こちらは大会議室。時間区分別で借りることができ、午前は3時間(9時から12時)で2,750円、午後は5時間(13時から18時)で3,850円。
セミナーやワークショップ会場を探している方は、大会議室がおすすめ! スクール形式に設営すると、最大20名まで収容可能です。
〈エスタシオン〉を運営しているのはコミュニティラジオ放送局のBeFM。入居していた建物の老朽化に伴い移転先を探していた際、八戸市美術館にはカフェが併設されていないと知り、まちを盛り上げていくために現在のビルへの移転を決意。それと同時に、ただのカフェではなく、コワーキング要素が追加された“コワーキングカフェ”をオープンしようと決めたそうです。
1階の入り口付近のスペースには、「エスタシオン第1スタジオ」が配置され、生放送の様子を見ることができます。
すでに、平日16時から18時の生放送番組「ゆうらじ!Hachinohe」の発信が始まっており、店の外側に設置されたスピーカーから流れるラジオは、まちににぎわいを添えています。
店内にもラジオが流れているので、発信している様子を見ながらコーヒーを飲むこともでき、穏やかな夕方が過ごせそうです。
〈ポータルミュージアムはっち〉が休館日の場合、平日11時から14時の生放送番組「びびすた」の発信をすることも。
市民からラジオ放送局として愛されているBeFMですが、その事業の本来の目的は「地域活性化」。その手段のひとつとして、ラジオという方法をとっているのだといいます。
今回の〈エスタシオン〉オープンも、同じ考え。
エスタシオンとは、スペイン語で「駅」という意味があります。大きな駅で大勢の人が行き交うように、エスタシオンで人と人とが出会い、つながり、八戸の未来を切り拓いていくための活動拠点となることが本来の目的です。
実は、2006年12月に三日町で若者の活動拠点となったフリースペースの名前が〈エスタシオン〉でした。当時、旧エスタシオンでは、ライブや映画祭、ファッションショーなど、多くの若者に活用されて、まちが賑わっていました。
いわゆる青年といわれる年代の若者が何かしたいと思えるまち、それこそがまちづくりにとって最も重要な要素だといいます。
〈エスタシオン〉では旧エスタシオンの情熱を受け継ぎ、かつてのように若者の居場所となるために、新たなチャレンジを応援しています。
八戸を盛り上げるためにやりたいことはあるけれど、やり方がわからない。好きなことを広めていきたいけど、誰に相談したらいいのかわからない……、そんな悩みを抱えている人はいませんか?
常駐しているコワーキングマネージャーが、専門機関に繋げてくれたり、利用者間の交流を促したりして、あなたのチャレンジをサポートしてくれること間違いなし!
まだまだ可能性が無限大な〈エスタシオン〉。
八戸市中心街最大の駅として、どんな輪が広がっていくのか楽しみです。
Photo:なつめ