見どころいっぱい! 〈八戸ブックセンター〉でのんびりと一日を過ごしてみた。【六日町】
『本のまち八戸』の拠点〈八戸ブックセンター〉。前回はその役割や秘密についてせまりました。今回は常連さんにも、普段はあまり行ったことがないという人にもぜひ見てほしい! ブックセンターでゆっくりのんびり、本との出会いを楽しむ方法について、所長の音喜多さんに案内していただきました。
『本のまち八戸』の拠点〈八戸ブックセンター〉。前回はその役割や秘密についてせまりました。今回は常連さんにも、普段はあまり行ったことがないという人にもぜひ見てほしい! ブックセンターでゆっくりのんびり、本との出会いを楽しむ方法について、所長の音喜多さんに案内していただきました。
まずはギャラリーへ。取材時に行っていた企画展は『ブックデザイナーの仕様書展2021』。本の表紙、扉、帯などのデザインや、製本材料の選定など、「本」を作る仕事“ブックデザイナー”の、アイデアや製作工程などが展示されています。
2021年3月28日にはブックデザイナーの川名潤さん、山田和寛さんによるトークイベントが行われ、大盛況に終わりました。本を読んでもらうだけでなく“本そのもの”に興味を持ってほしいという願いから、本に関連した企画が多く行われています。
ギャラリー内のBGMは、展示の雰囲気に合わせてスタッフが選曲。過去の展示では、地元でDJをされている方が企画をイメージして選曲してくれたことも。全国的に活躍されている方をゲストに呼ぶこともありますが、地元の方々との繋がりも大事にされているんだとか。
社会情勢や地域イベントと“本"を関連させたタイムリーなイベントを企画することも。
ギャラリーの横には何やら木の……モニュメント……?
こちらは“本の塔”。気兼ねなく自分の世界へ入り込めるようにと、入り口はあえて壁側に。中を見上げると、“どう生きるか”というテーマで集められた本が頭上高くまで並べられています。
本の塔にこもりながら、人生についてじっくりと考えてみるのもいいかもしれません。
ガラス張りの窓に面したコーナーでは日の光がうらうらと差し込み、読書用のソファにひだまりを作っています。深くまで腰掛けることができるソファの足元には、利用者から提供されたという足置きが。
仕事や社会について考えるときは、通りに面した場所で雑踏を感じながら。
現在は「SDGs」に関する本が入門書からそれぞれの項目の専門書まで多く取り上げられています。学校の授業にも取り入れられるようになったというSDGs、学生や先生方にも人気のコーナーなんだとか。
さあ、頭を使ったところで休憩を挟みましょう。カウンターでは地元で生産されている飲み物を注文することができます。今回は〈弘前成田専蔵珈琲〉のホットコーヒー(400円)を。新鮮なコーヒー豆を挽いて、目の前でドリップしてくれます。
お湯がゆっくりと注がれると、ふくふくと膨らんでいくコーヒー粉。落ち着いた雰囲気の店内に香ばしさがふわりと広がります。ロゴが入ったオリジナルのカップに入れられて……。
熱いコーヒーを口に含むと一気に濃厚なうまみが。しかし後味は不思議とスッキリしていて飲みやすい。頭をさっぱりさせてくれる読書休憩にぴったりなコーヒーです。さあ、コーヒーのお供に楽しむ本はどうしよう。
猫ちゃんの本、見つけちゃいました。館内の椅子に座ってのんびりと可愛らしい猫の写真を楽しみます。犬や猫に関する本棚や、料理に関する本棚と、キャッチーなコーナーもあるんです。
こちらは中心街・十三日町のチーノ八戸にある映画館、〈フォーラム八戸〉と連携した書籍コーナー。上映中の映画のポスターや関連作品、原画集などが集められています。上映スケジュールが置かれているので、それを片手に気になる映画を探してみるのも楽しそうです。そして映画を観た後、またここで原作本などを楽しむ……。これは本で「まち」を盛り上げるための工夫のひとつです。
美術館などの展示と関連した書籍も。2021年11月には八戸市美術館がオープン予定なので、「ブックセンターから美術館へ、そしてランチを食べたあと映画を観に行こうか」なんて、丸一日かけて中心街を楽しんでもらえたら、と音喜多さんは言います。
2020年12月に閉店した中心街の「古書遊歩堂」のコーナー。八戸にちなんだ本が多くあります。
見てください! こんなところにドリンクホルダーが!
ここに置けばゆっくりと本を読むことができますね。みなさんも本棚をよく見てホルダーを探してみてください。
『本のまち八戸』のコーナーには、八戸にかかわりがある作家さんの作品や、歴史、まちづくりに関する本が置かれています。なかにはブックセンターについて記載のある本も。そのほか、こちらのコーナーでは“本”そのものに興味を持ってもらうために、本屋に関するもの、本の作り方に関するもの、そして本を書いてみたい人に向けた本も揃っています。
カンヅメブース。使用料は無料。机、椅子、ライト、Wi-Fi、冷暖房完備。
ブックセンターの基本方針のひとつに、“本を「書く人」を増やす”があります。先程の本を書きたい人に向けた書籍以外にも特徴的なサービスが、執筆に集中できるように用意された文字通りカンヅメになれる『カンヅメブース』です。小説、エッセイ、短歌、論文などを執筆したい思いがある人が『八戸市民作家』として使用登録することで利用可能。
本を書くための本を読んだなら……。実際に執筆してみませんか?
八戸市民作家は現在約260名ほどが登録し、多くの市民に利用されています。
小説を書きたいという人や、取材記事を執筆するライター、絵本を描いて出版社に送った実績のあるお子さんや、定年後に自分史を書きたいと取り組み始めた高齢者などさまざまな人が作品を“書く”ためにブースを利用しています。そのほかに、執筆や出版のワークショップなども開催していますよ。
八戸の作家といえば三浦哲郎氏。愛用していた文机のレプリカが読書席として設置されています。
さあ、カンヅメから抜け出して再び本の世界へと戻りましょう。次に向かうのは『知へのいざない』というコーナー。こちらは新たな知識の世界へ私たちを誘ってくれる本が東西南北4つの壁面に大量に並べた巨大本棚。
それぞれの分野の案内役となる入門書もところどころに並んでいます。本を手に取り、新たな世界に興味を抱き、段々と関連書籍を読んでいったら……? まさに知の世界へと誘われているようです。一見難しいテーマではありますが、迷ったらまずスタッフにお声がけを。可愛らしい装丁なんかで選ぶ方法ももちろんあります。
筆者が大好きな自然に関する本が集められたコーナー。案内板を見てみましょう。「元素」、「科学一般」そして見上げれば「宇宙」の本たちを眺めることができます。小さいものから大きいものへと広がり、空に広がる宇宙を感じる。本屋さんにいたはずが、思考はすっかりと壮大な自然の中へ。こちらのコーナーは図鑑も多く、おすすめです。
大きい〜!! こういった巨大図書は傷んでしまわないようにカバーで保護されていますが、スタッフに声をかけるとカバーを外して中身を見ることができるそう。
4つの本棚の中心部には『読書会ルーム』があります。こちらではブックセンター主催の読書会や隣の花屋〈リトルプランツ〉のワークショップ、トークショーなどのイベントのほか、申請をすれば一般の方でも読書会を開催することができます。
一般の方が開催した読書会では、ビブリオバトルという形式でおすすめ本を紹介しあうイベントもありました。また予約がない場合は読書席として一般の方も利用可能です。
みなさん、いかがでしたか? 本が好きだけど、難しいテーマには今まで手を出せなかったという方や、そもそも本をあまり読まないという方でも大丈夫。迷ったときにはおすすめの本についてスタッフに聞いてみましょう。本のことだけでなく、観光客からおすすめの飲食店を聞かれ案内したこともあるという音喜多さん。些細なことでも、遠慮なく聞いてくださいとのことでした。
ハンモックに揺られて、リラックスしながら読書を楽しむ。ハンモックに座って写真撮影もOKです!
最近はSNSの利用も活発に行っており、Instagramではその日のおすすめの本やイベント情報が盛りだくさん。気になった本があればそれを探しにきてみるのもいいかもしれません。“本”でまちを盛り上げていきたいという〈八戸ブックセンター〉を起点に中心街を練り歩く。そんな一日も楽しいのではないでしょうか? ぷらっと訪れたあなたに、豊かな本と世界との出会いがありますように。
『本のまち八戸』の拠点〈八戸ブックセンター〉。前回はその役割や秘密についてせまりました。今回は常連さんにも、普段はあまり行ったことがないという人にもぜひ見てほしい! ブックセンターでゆっくりのんびり、本との出会いを楽しむ方法について、所長の音喜多さんに案内していただきました。
“本のまち”を目指す八戸市、その中心拠点として複合ビルGarden Terrace内にオープンした〈八戸ブックセンター〉。ここは、全国でも初の試みとなる市営の本屋さん。市が本屋を運営する理由とは? あなたを待っている本が、そこにはあるかもしれません。