「私だけの一着」を、〈和布工房aya〉で。八戸で出合う“仕立て直し”の世界【三日町】

「縫えるものなら、どんなものでも作りますよ」。そう話してくれたのは、洋服と着物の仕立て直しの店〈和布工房aya〉オーナー・松橋綾子(まつはし・あやこ)さん。着られなくなった洋服や着物を再利用して作り直す“仕立て直し”の技術は、まるで魔法使いのよう。そして、そんな松橋さんの独立を後押しした〈ものづくりスタジオ〉での出会いや魅力についてお話を伺いました。

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wakana

2025年開催【ライター養成講座】受講修了者

1983年生まれ。青森県八戸市出身。イベントや楽しいことが大好き。3人の子育てを経て、現在は夫婦デュオ「OTOMEOTO」として音楽活動をしています。MBTI診断はENFP広報運動家。動物占いはペガサス。好きな食べ物はスパイスカレーと焼き芋。

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八戸のまちなか〈ポータルミュージアムはっち〉4階フロアには地元のクラフト作家の工房がならぶ〈ものづくりスタジオ〉が。その一角に〈和布工房aya〉はあります。
まず目に飛び込んできたのは、な、なんと、足踏みミシン!
店主の松橋さんが小さい頃から実家にあった年代物のミシンで、今もなお修理しながら大切に使っているのだとか。

足踏みミシンとは、足で踏み板を前後に動かすことで、布を縫うことができる旧式のミシン。

〈和布工房aya〉では、洋服と着物の仕立て直しを行なっており、ズボンの裾上げはもちろん、タンスに眠る着物を再利用して洋服や小物に仕立て直すことができます。

「着物は持っているけれど、なかなか着る機会が少なくなって……と、相談する方が多いんです。タンスに眠ったままだと、もったいないですよね。そんな着物を再利用して、洋服や小物に仕立て直すんです」と店主の松橋さんは言います。

工房には、どんな生地にも合わせられるように色とりどりのミシン糸が並ぶ。

工房には、仕立て直しを求めるお客さんが次々にやってきます。
この日は80代の女性が、着られなくなったワンピース3着を持って来店。
長すぎる袖の丈詰め、ほつれてしまった襟の修繕や、デザインをもっと素敵に仕上げられないかといった相談に訪れていました。

右が店主の松橋さん。

松橋さんに、どんな仕立て直しの相談が多いのか伺うと、「もう少しスカートの裾を短くしたい」「気に入っているカットソーが小さくなってしまったからサイズアップしたい」など、内容は幅広いのだそう。

松橋さんに、仕立て直しの流れを聴きました。

⚫︎仕立て直しの流れ

【その1・相談/ヒアリング】
どんなふうに仕立て直ししたいのか、お客さんの希望を聞く。

【その2・提案/デザイン】
元のデザインや生地を活かしつつ、どんな仕立て直しができるかお客さんに提案しながら、出来上がりのデザインを決める(次々に提案される様子は、まるで魔法使いのようです!!)。

【その3・見積もり】
仕立て直しの種類によって、料金と出来上がり時期は変わる。要相談で見積もりを決める(縫えるものならどんなものでも対応してもらえるから、気軽に相談してみたくなります!!)。

【その3・採寸】
仕立てるデザインによって、その場で服の上からサイズを計る。

料金は、ズボンの裾上げ990円〜、ウエスト詰め1980円〜。お直しの箇所や種類で料金が変わるため要相談。

 

独立を後押ししたのは、はっちの「入居者募集」

松橋さんは仙台の洋裁専門学校を卒業後、就職しますが、父親が病に倒れ八戸にUターン。24歳のときに、実家が営む〈カネタ洋装店〉(八戸市番町)を手伝うことに。
父親に代わり兄がミセス服の仕入れ、母はオーダーメイドの受注、松橋さんは既製服のお直しを担当していたそう。

その後30年にわたり家業を守ってきましたが、母も兄も高齢のため体調を崩しがちになります。一人で店を続けるか引退するかを迷っていた矢先、コロナ禍に。

「ちょうどその頃、はっちの〈ものづくりスタジオ〉入居者募集を知ったんです。ここでなら続けられるかもしれないと思いました」

はっちの入居者募集が独立のきっかけとなり、2022年12月、仕立て直しの店〈和布工房aya〉をオープン。
お店では、縫えるものならどんなものでも大歓迎で、「着たいけど着られなくなった洋服がある」「もっとこんなデザインだったら良いのに!」とお困りの方に手を差し伸べてくれます。

長年仕立て直ししてきたからこそ提案できるデザインは、“着心地の良さ”を1番に考えているんだそう。より長く着たくなる提案をしてくれるのは、職人ならでは。

また、オリジナルフルオーダーも受け付けているため、お気に入りの布を持ち込むだけで、あなただけの一着が出来上がります。

過去には、〝推し活〟用の真っ赤なオリジナルスーツを作ったこともあるんだとか!

 

“洋裁を教える”ことで生まれる新商品

はっちのイベント企画で、洋裁のワークショップ講師としても活躍する松橋さん。
ミシンを使い2時間で完成するキュロットスカートを作り、参加者さんとの新しいかたちでの交流ができたそう。

「はじめは、誰かに教えるなんて考えもしなかったんです。はっちの方に誘ってもらえたことでいざやってみると、イチからデザインを考えて作ることがおもしろくて」

〈ものづくりスタジオ〉に入居したからこそ、教えることの楽しさや新たな発見があったと松橋さんは言います。

お客さんたちに“こんなデザインあったら良いのに”という話からヒントを得て、新しい作品も生まれています。今では、既製品の高機能な布地と、着物生地を組み合わせて仕立て直した一点ものの洋服も販売するなど、アイデア商品も制作できるようになりました。

〈ものづくりスタジオ〉のフロアに来るお客さんは、ものづくりすることが好きな方が多く、松橋さんのミシンを見て話しかけてくれる方が多いのだそう。店の中が見えにくい路面店とは違い、気軽に店主に声をかけることができることこそ、この工房の最大の魅力なんだと感じました。

取材中も次々に来店されるお客さんは、女性が多く、みなさんおしゃれ!
ファッションのことから何気ない日常のことまで、おしゃべりと笑顔が絶えない空間でした。
松橋さんが語る“仕立て直し”の世界を知ると、我が家に眠る洋服や着物ももう一度生まれ変わらせたいと胸がおどります。

洋服はもちろん帽子やバックにも仕立て直すことができるので、私だけの一着が出来上がります。それはまるで、魔法使いのよう。ファッションの“こんなデザインが着たかった!”を叶えてくれる〈和布工房aya〉に、気軽に訪れてみてはいかがですか?

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