〈八戸市美術館〉で開催! 東北初『藤井フミヤ展 Fumiyart2024』レポート。

2024年1月20日(土)から3月25日(月)までの期間中、〈八戸市美術館〉で開催されている『デジタルとアナログで創造する 藤井フミヤ展 Fumiyart2024』(以下、『藤井フミヤ展』)にやってきました。アーティストとしても、画家としても活躍している藤井フミヤ氏のアートが楽しめる本展は、なんと北海道・東北地方初上陸! 130点の作品と新作3点が公開されているのだそう。堪能してくるぞ〜〜!

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小田桐咲-amy-odagiri

1996年生まれ。直感と勢いで生きる牡羊座。青森県八戸市出身。5歳から武術太極拳(カンフー)を嗜んでおり、2019年の全日本チャンピオン。2026年のあおもり国スポでの優勝を目指し、20208月にUターン。『海猫ふれんず』として地元の情報も発信中。育ててくれた街や人に感謝して、その恩を返していけるように活動していきたいです。
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ミュージシャンだけじゃない! 画家としての顔も併せ持つ藤井フミヤ氏。

1962年に福岡県久留米市に生まれた藤井フミヤ氏。1983年に音楽バンド「チェッカーズ」のリードボーカルとしてデビューし、世の中を席巻しました。当時は「藤井郁弥」で活動していましたが、1992年にチェッカーズが解散した翌年から「藤井フミヤ」としてソロ活動を開始。ソロになってからも数多くのヒット曲を世に送り出し、今もなお、多くのファンに愛されています。そんな藤井フミヤ氏は、音楽活動と並行して、芸術活動にも取り組んでいました。本展内に掲載されているキャプションのなかには「音楽よりも美術の成績の方がよかった」という一面も。実はずっと芸術に触れ続けていたのだといいます。

展覧会時の藤井フミヤ氏。

画家としては、1993年には、CGアートによる個展を初開催し、国内外で作品を発表しました。ほかにも、ギネスブックに認定された『愛・地球博』の名古屋市パビリオン《大地の塔》をプロデュースするなど、幅広く活躍されています。

ミュージシャンとしてだけではなく、画家としても活躍してきた藤井氏。その30年分の作品が、今回〈八戸市美術館〉にて展示されています。いったいどんな展示になっているのでしょうか? さっそく展示を見ていきましょう!


驚きとわくわくが止まらない! アートのアトラクションがここに。

中に入って最初に展示されているのは、女性の作品でした。

「キラキラしてて、カラフルなアクセサリーをつけているみたいでかわいい〜!」 と小学生みたいな感想を持ってしまった私ですが、よく見ると……全部シールではありませんか!

キラキラのニコちゃんシールや星のシールなど、小学生のときに集めていたようなシールが輪郭、陰影を映し出し、黒い背景に女性が描かれています。シールって、使い方次第で女性を描くことができるんですね! これが、アート……ってコト!?

「蝶々のブレスレット、素敵ですね〜!」 と話しかけたくなる。

どんなシールが使用されているかわかると、目の前の女性が身につけているアクセサリーがさらに魅力的に見え、親近感が湧いてきます。

ほかにも、いわゆる“絵画”というワードを聞いて連想するような、水彩や油彩などにとどまらず、木材や針金、ボールペンを使用した作品などがもりだくさん! 

針金の作品は、光に当たって落ちる影もひとつの作品になっているように感じましたし、ボールペンの作品は「ボールペンでこんなふうに絵を描くの!?」とびっくりしました。アートに詳しくない私でも驚きの連続で、まさに藤井氏のいう「アートのアトラクション」が並んだ展示会場になっていました。

本展では30年前のCG作品も展示されています。制作年によって、CG技術が進歩していることも感じられ、30年という長い年月の人類の歩みを感じることもできました。

また、着目すべきは作品だけではありません。

会場となっているホワイトキューブの中央にそびえる大きな柱を中心に、広い展示室が7つに分けられています。上から見ると雪の結晶のようになっており、寒さ厳しい八戸市と本展の重なりを感じると共に、高い天井と広い面積を持つホワイトキューブが分割され、迷路のようになっている構造にワクワクしました!

過去の『藤井フミヤ展』でもこのような展示の仕方は今までになく、〈八戸市美術館〉の構造だからこそ実現したものだとか! 今までの本展を見たことがある人でも、違う楽しみ方ができるのではないでしょうか?

分割された各部屋ごとに、展示されているテーマや使用されている画材は異なりますが、順路などの指示はなく、自分の好きなように歩くことができるのも魅力のひとつです。

それぞれの壁のいたるところに藤井氏の心の声が書かれています。そのひと言に触れてから作品を見ると、また違った捉え方をすることができますね。

個人的に一番好きな作品。

ブラックキューブでは、実際の制作風景が約7分間の動画で放映されています。制作中の写真なども見ることができますので、ホワイトキューブの展示を見終えたら、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

ミュージアムショップも大好評! 展示されている作品がグッズになって、店頭に並んでいます。気に入った作品のポストカードやアクセサリーなども探してみてくださいね。


木も森も見る力を。子どもにこそ見てほしい『藤井フミヤ展』。

本展について藤井フミヤ氏は、「被写体あっての作品なので比較的見やすいと思います」と語っていました。確かに、アート知識の乏しい私でも、難解に感じる作品がほとんどなく、どんな方でもフラットに楽しむことができるのではないかと感じます。

さらに、近くで見たときと遠くから見たときで印象の異なる作品などが多く、自分の視点によって気づきが変わることが何より面白かったです。今回、筆者はカメラマンのなつめと同行しましたが、同世代同士でも気がつくことが異なり、それを共有し合うことで、作品に対する理解や愛が深まったような気がしました。

人生も同じなのかもしれません。一点だけ見ていては気がつかないことがあります。その一方で、大局的に見るだけで細やかな配慮や仕掛けが不足していてもいけません。木も森も見る、どちらの視点も重要なのです。そしてそれを伝え合い、共有していくことで関係が深まっていく。『藤井フミヤ展』はそんな力を引き出してくれるように感じました。

人気のフォトスポットになっているそうです。

そしてなんと! 本展は小中学生の入場は無料!! ぜひ、発想力に長けているお子さんにこそ見ていただきたいと感じました!

目の前の作品を見て、小中学生のみなさんはどんなことに気がつくのか、聞いてみたい気がします。そして〈八戸市美術館〉は、彼らの気づきを積極的に対話できる場であってほしいと願います。お父さん、お母さん、学校の先生方、いかがでしょうか(笑)!

『デジタルとアナログで創造する 藤井フミヤ展 Fumiyart2024』は3月25日(月)まで。一度行った方でも、何度も見ることで作品の見え方が異なるかもしれません。

公開日
Shop Info

八戸市美術館

住所
青森県八戸市大字番町10-4
電話番号
0178-45-8338
営業時間
10時〜19時
定休日
火曜、年末年始(12月29日〜1月1日)
公式HP
https://hachinohe-art-museum.jp/
公式SNS

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初心者のためのアート手引き。〈八戸市美術館〉の『ロートレックとベル・エポックの巴里-1900年』。【番町】

第一次世界大戦前の華やかで享楽的な雰囲気にあふれた時代のパリでは、さまざまなものが新しく誕生していました。後世になり、人々はその時代を「ベル・エポック(美しい時代、良い時代)」と呼ぶようになります。そんな時代を生きたロートレックや当時の画家の作品は、見るだけでワクワクするようなものばかりです。その一方で、ロートレックの生い立ちを知ることで感じる寂しさもありました。市民待望の西洋美術展、ぜひ多くの方に、お楽しみいただきたいです!

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