種は風に運ばれ、時代を超える。〈八戸市美術館〉で『風のなかを飛ぶ種子 青森の教育版画』を開催中。
2024年10月12日(土)~2025年1月13日(月・祝)まで〈八戸市美術館〉で開催されている『風のなかを飛ぶ種子 青森の教育版画』。本記事では、教育版画の起源やタイトルの種子の意味を紐解きながら、本展の紹介をしていきます。戦後の人々の祈りが、現代の私たちのもとまで届いていました。
〈八戸市美術館〉では、2024年7月6日(土)〜9月1日(日)の期間中、『tupera tupera のかおてん.』が開催されています。「かお」をテーマに掲げた本展は、見て、探して、貼って、体験して楽しむ企画展。ドキドキ、ワクワク、ニヤニヤが止まらない『かおてん.』を見たあとのあなたは、ありふれた日常のワンシーンがすべて顔に見えてしまうかも!
2024年7月6日(土)〜9月1日(日)の期間、『tupera tupera のかおてん.』(以下、『かおてん.』)が開催されています。〈tupera tupera〉とは、亀山達矢さんと中川敦子さんの2人によるクリエイティブユニットで、絵本やイラストレーションだけでなく、テレビや舞台、ワークショップのアートディレクションなど、国内外問わず、さまざまな分野で活躍されています。
2020 年から4年間で7会場を巡回してきた『かおてん.』ですが、今回の八戸会場が8会場目。そして最後の開催地となります。そんな記念すべき最後の『かおてん.』の内覧会に潜入してきました!
〈tupera tupera〉の亀山達矢さん(左)、中川敦子さん(右)。
オープニングセレモニーでは「大人から子どもまで、驚いたり笑ったりして楽しんでもらい、展示を見終わったあとは愉快な顔でいっぱいになればいいなと思っています」とあいさつをした亀山さん。
中川さんは「今回の展覧会では、顔をテーマに、私たちがこんな風に考えて、つくって、楽しんでみたよ! ということを詰め込みました。出口を出る頃には、見てくださった方それぞれが、日常にあるものがなんでも顔に見えてしまうような状況がたくさん生まれるといいなと思います。ワクワクする体験をしていただけたら嬉しいです」と語りました。
見終わったあと、私はいったいどんな顔になっているのでしょうか? ドキドキ、ワクワクの『かおてん.』へ、レッツゴー!
さっそく展示室のなかへと向かうその前に。入場口の前には、『かおてん.』の楽しみ方をレクチャーしてくれるコーナーがあるのです! レクチャーコーナーからすでに顔(笑)!
『かおてん.』を楽しむキーワードは「PLAY」! 「PLAY」とは英語で「遊ぶ、戯れる」の意味。受け身にならず、自分から作品に関わりに行くことが、『かおてん.』を100%楽しむポイントとなりそうです。
本記事では、レクチャーコーナーの顔たちが教えてくれる4つの「PLAY」に合わせて、『かおてん.』の魅力を紹介していきます。
ひとつめは「はってPLAY!」 総合案内やミュージアムショップで購入できる「かおシール」(220円、全8種類)を購入し、自分の顔にぺたりと貼っちゃいましょう。
レクチャーコーナーにいる顔の口の部分は大きな鏡になっています。鏡を見ながら、いつもの自分とは違う顔をつくってみましょう。
いかがでしょうか? なんだかちょっと間抜けな顔になってしまいました(笑)!
しかし油断してはいけませんよ。私のこの第三の目が開眼するとき、世界は間もなく闇に包まれ……(以下省略)。
内覧会に参加された熊谷市長の表情も、いつものキリッとした真面目な顔から、かおシールのおかげで愉快な顔に!
自分のアイディアとシールの組み合わせ次第で、何種類もの顔をつくることができます。かおシールをつけた個性あふれる顔をした来場者とすれ違うと、ちょっとしたアミューズメントパーク気分を味わえちゃいますね。
ちなみにシールの粘着力はけっこう強め。どんなに汗をかいても剥がれません! 絆創膏と同じ素材を使っているので、肌にも優しく楽しむことができます。
2つめは「みてPLAY!」。今回の『かおてん.』は、大きく分けて5つのエリアに分かれています。「原画展示」、「かお10」、「かおカオス」、「床田愉男(ゆかだゆかお)」、「ワークショップ」の5つ。
それぞれ特徴あるエリアになっていますが、「みてPLAY!」が一番楽しめるのは、入場口から入ってすぐの〈tupera tupera〉が手がけた絵本の原画展示エリアです。
著書「かおノート」の原画。
原画が飾られているだけでなく、〈tupera tupera〉の制作過程の動画も上映中。音声はないものの、手元のやりとりを見ていると、2人のチームワークの良さを感じ取れます。
「かおノート」の原画エリアから口ゲートを通ると、「やさいさん」や「あかちゃん」の原画が展示されていました。
元気よく「すっぽーん!」 と声をあげる園児たちの可愛いことよ。
表面は、優しい表情を浮かべたおばけたちの表情が並んでいますが、その裏をのぞいてみると……。これ以上は言えません。怖がりな筆者は、涙を流しながら次のエリアへと歩みを進めました。
原画エリア、最後のコーナーでは、「モノモノノケ」の作品が展示されています。一見普通の家の写真が並んでいますが、よく見ると物たちには顔が! 捨てられそうな古いものも、顔がついたら命が吹き込まれ、夜になると動いているのだとか!?
こっそり家の窓をのぞいて見ると、本当にモノモノノケたちが遊びに来てくれていました! みなさんの家のモノモノノケたちもいるかもしれませんね。
次は「さがしてPLAY!」。顔にあふれた『かおてん.』では、お気に入りの顔を探してみることも醍醐味のひとつです。探すための必須アイテムは「かおルーペ」(110円、全8種類)!
こちらも総合案内や物販コーナーで購入できます。
さっそくかおルーペを使用して、かお探しをしてみます。
「かおノート」原画展示エリア。
むむ! これは……!
納期に追われて困ってそうなビジネスマンの顔!
みなさんはどんな顔を発見するのでしょうか。アイデアによっては、同じパーツでも違う顔に見えることもあるかもしれません。
実は、顔が散りばめられているのは展示会場内だけではありません。〈八戸市美術館〉内の至るところに顔が設置されているというのです!
いったいどこに? とふと足元を見てみると……。
非常口灯が顔に! 緊急時でも逃してくれなさそうな顔だ!! さらに、八戸ならではの顔も設置されています。
館内に設置されている顔は、全部合わせて48箇所! みなさんはすべての顔を探すことができるでしょうか?
最後のPLAYは「じぶんもPLAY!」。 『かおてん.』の会場内には、自らが体験できる展示がもりだくさん! 原画展示エリア以外の残りの4エリアは、すべて「じぶんもPLAY!」できる展示となっています。
まずは「かお10」を紹介します。
個性あふれる顔が並んでいる顔が10点展示されている「かお10」エリア。それぞれの顔にはキャラクター設定がされていて、名前や年齢、出身地や性格などの紹介があります。なかにはラブレターまで展示している顔も(笑)。顔同士の恋模様まで楽しめてしまいます。
おや? この顔だけ、手と足が生えていますね……?
く、熊谷市長ーーーっ!?
そう、「かお10」の顔たちの裏側は、入れるようになっているのです! 自由な発想で好きなポーズをとり、写真におさめて楽しみましょう! というわけで私も1ポーズ。
板野まなちゃん、8歳。料理が得意なだけでなく、カンフーも習っています。なんちゃって。
「かお10」の次に“じぶんもPLAY!”できるのは、「かおカオス」エリア。
大きな顔、目、口、鼻……大小さまざまな顔やパーツが、ごちゃまぜになっています。
「あ〜ん?」 とでも言わんばかりの顔と喧嘩したり。
数ある顔のなかのひとつになってみたり。他にもトンネルをくぐったり、瞼を開けてみたりと、遊び方は無限大!
さらに、「かおカオス」中央にある赤い口に注目! なんと虫歯があるのです。この虫歯は「かおクエスチョン」という箱になっています。
なかには「それってどんな顔やねん!」 と思わずツッコミをいれてしまいそうなお題もあるかもしれませんが、自分なりの解釈でお題通りの顔を探してみてみましょう!
情報溢れる現代社会において、自分なりの正解を見つけ出す力は非常に大切です。子どもにとっては顔探しで遊んでいるだけかもしれませんが、本当に大切な学びを得られる場になりそうです。
「かおカオス」の隣には「床田愉男(ゆかだ ゆかお)」が並んでいます。チラシの真ん中にも大きく掲載されていた黄色い顔の彼です。
目だけが設置された床田さんの上に、壁際に並ぶパーツを持って、靴を脱いで上がります。
天井には大きな鏡が設置されているので、確認しながら床田さんの顔を完成させていきましょう! 内覧会時、中川さんは赤いワンピースを着用。自らが横になることで、床田さんの口となっていました。自分自身が床田さんのパーツになるのも面白いですね。
また、BGMとして流れている床田愉男のうたも、長時間聞いていると頭から離れなくなるほど癖になってしまいます。ゆっか〜だゆっかお〜♩
そしてもうひとつ“じぶんもPLAY!”できるのは、出口を出た先にあるワークショップルーム。
ここでは紙やペン、シールを使用して、オリジナルの顔を制作することができます。つくった顔はもちろん持ち帰りOK!
さらに、〈tupera tupera〉の本の読み聞かせコーナーもあります。本棚や椅子にも顔が!
読み聞かせコーナーからすぐ隣のミュージアムショップには、作品に合わせたグッズがずらり! ここでしか買えないアイテムも用意しています。
床田愉男には、詳細なプロフィールが設定されています。
東京都立川市在住、53歳の男性である床田愉男は、自分の顔にいまいち自信が持つことができず、「自分とはなんだろう?」 という葛藤のなかにいるといいます。
中川さんは「顔とは本当に不思議なものです」とお話していました。
私たちの顔は、パーツを選んで生まれてくることはできません。床田愉男の顔と違って、後から変更することも容易ではありません。生まれてから死ぬまで、一生自分の顔と向き合って生きていかなければならないのです。
ただ、その日の気分や体調、メイクによって、自分の顔は変わりますし、生き方によっても変わっていきます。夫婦の顔が似てくるという話もありますね。
毎朝鏡で自分の顔と向き合ったとき、床田さんのような葛藤を抱えることなく、「今日の自分もいい顔してるな!」 と思える毎日を送りたいものです。
そのために何が必要なのか?
本展を経て、それは“PLAY”なのだと感じました。遊ぶように生きて、真剣に遊ぶ。見て、探して、自分の人生をPLAYすることで、自分らしい顔になっていくのだと思います。
八戸市美術館の『かおてん.』は、9月1日まで。真夏の自分探しに、ぜひいかがでしょうか?
2024年10月12日(土)~2025年1月13日(月・祝)まで〈八戸市美術館〉で開催されている『風のなかを飛ぶ種子 青森の教育版画』。本記事では、教育版画の起源やタイトルの種子の意味を紐解きながら、本展の紹介をしていきます。戦後の人々の祈りが、現代の私たちのもとまで届いていました。
〈八戸市美術館〉では、2024年7月6日(土)〜9月1日(日)の期間中、『tupera tupera のかおてん.』が開催されています。「かお」をテーマに掲げた本展は、見て、探して、貼って、体験して楽しむ企画展。ドキドキ、ワクワク、ニヤニヤが止まらない『かおてん.』を見たあとのあなたは、ありふれた日常のワンシーンがすべて顔に見えてしまうかも!
2024年4月20日(土)〜2024年6月24日(月)まで、〈八戸市美術館〉では二度目のコレクション展となる『展示室の冒険』を開催中。本展では、前回のコレクション展のときには展示されなかった作品たちが並んでいるだけではなく、前回とまったく異なるコンセプトで作品を楽しむことができます。あなたも、〈八戸市美術館〉の冒険にでかけてみませんか?