






地元民が教える、陸奥湊の歩き方。テイクアウトとまち歩きを楽しむ。【陸奥湊】
「館鼻岸壁朝市」や〈八戸市魚菜小売市場〉などで人気を博している陸奥湊エリア。朝の時間がメインと思われがちですが、午後の時間帯だってのんびりお散歩しながら楽しめてしまうのです! 今回はテイクアウトできるお店をピックアップして回ってみました。

こんにちは、陸奥湊出身のはちまちライター、小田桐です! 今日は陸奥湊にやってきました!
今回の記事では、私がおすすめする陸奥湊のスポットを紹介していきます。なんたって私は、陸奥湊エリアにある八戸市立湊中学校で、生徒会長をつとめあげた女……。そんな私のおすすめですから、読んで損はさせませんよ!

やっほーカッチャ!
陸奥湊エリアとは、八戸市南東部に位置する港町。新井田川と太平洋に囲まれているため、潮の香りをのせた風が心地よい地域です。春先から夏頃までは、波の音に加え、遠くからウミネコの鳴き声も聞こえてくるので、八戸らしい雰囲気に満ちています。夏は市内では涼しい方で、海に近づくにつれ平坦な道が続いているので、お散歩を楽しむにはピッタリ!
古くから漁業と市場文化が根付いているため、現在でもおいしい魚が食べられ、市場の活気を味わうことができるなど、八戸市でも有数の観光地となっています。特に、毎週日曜日に開催される巨大朝市「館鼻岸壁朝市」や、その日仕入れた新鮮な魚を「のっけ丼」で楽しめる〈八戸市魚菜小売市場〉、行列の途絶えない海鮮丼の店〈みなと食堂〉などは有名です。
早朝の活気、すれ違う“イサバのかっちゃ”たちの笑顔、昔ながらの店が立ち並ぶ風景──。“暮らしの風景そのもの”が旅になるような、あたたかい魅力がここには溢れます。また、最近では新たにオープンしたお店も増えており、今注目のエリアなのです。
本記事では「陸奥湊の歩き方」と題して、このエリアの楽しみ方やおすすめスポットをご紹介します。今回は特に、テイクアウト可能なお店をピックアップして回り、最後は〈館鼻公園〉でピクニックをしていきたいと思います! さぁいくぞ〜〜!!
陸奥湊エリアのテイクアウト巡りの旅!

陸奥湊エリア出身の筆者は、学生時代こちらから電車に乗っていた。懐かしい。
JR陸奥湊駅をスタートしますが、最初の目的地は〈八戸ソウルキムチ〉というキムチ屋さん。最近SNSで見かけて、筆者が非常に気になっていたお店のひとつです。
おおよそ住民以外のほとんどの方が降りたことがないであろう〈JR陸奥湊駅〉のB面、もとい南口へ降り立ちます。〈JR陸奥湊駅〉を出て、左手の坂をのぼって徒歩1分のところに〈八戸ソウルキムチ〉はあります。

韓国人の店主が、八戸近郊で獲れた野菜をキムチにして販売しています。館鼻岸壁朝市でも販売しており、本場の味が楽しめると噂になっていたので、とても気になっていました!
今回は「胡瓜キムチ」(250g 500円)と「タコキムチ」(70g 500円)を購入。
本場の味を食べたことはないけれど、今まで食べたキムチのなかで一番辛かった! しかし後を引く辛さではなく、酸味とコクが入り混じった辛さのなかに野菜やニンニクの旨みを感じられる、クセになる味わいでした。
<shopinfo> 八戸ソウルキムチ |
住所:青森県八戸市湊町上中道14-4 |
電話番号:090-3369-1591 |
営業時間:10時30分〜18時 |
定休日:日・月曜日 |
公式Instagram:https://www.instagram.com/seoul_kimuchi38 |

夏場に食べ歩きをする場合は保冷バッグが必須です!
キムチ購入後は、〈JR陸奥湊駅〉北口へ戻り、駅を背にして右手側に店をかまえる〈後村商店〉へ。中学時代の先輩に、まち歩きにおすすめの店を聞いたところ、「〈後村商店〉でお菓子を買え」との返答が。
当時、私の母校では「先輩が言うことに間違いはない」と教わってきました。先輩がそう言うのなら行くしかないでしょう! いざゆかん、〈後村商店〉!!

え〜〜! 令和のこの時代に、こんな価格設定の店が存在していたとは……! 税込100円? 300円? ほんまでっか??
〈後村商店〉では菓子類のほか、地域の菓子パン屋さんやお団子屋さんから卸した商品も販売。

〈後村商店〉では、ローカルで大人気〈工藤パン〉の「イギリストースト」と、八戸を代表するお餅屋さん〈西川餅店〉の「長者もち」を購入。

「イギリストースト」(写真左側)とは青森県民なら知らない人はいない大人気菓子パン。ふわふわの食パンにマーガリンとグラニュー糖がトッピングされており、甘さと濃厚さのコンビネーション、そしてグラニュー糖の“ジャリジャリ感”がたまらなくうまい! 久しぶりに食べましたが、脳汁が溢れ出るおいしさですね。
「長者もち」(写真右側)とは、こし餡入りのひと口大のお餅に味噌ダレがかかった一品。露店で販売されている「串もち」のような味わいで、初めて食べたのに懐かしい気持ちになりました。

レトロかわいい雨除けがトレードマーク。屋根の下に隠れる「後村商店」の文字がクラシックでかわいいので、お見逃しなく!
<shopinfo> 後村商店 |
住所:青森県八戸市湊町久保44 |
電話番号:0178-33-0460 |
営業時間:3時〜15時 |
定休日:日曜 |

ちなみに〈後村商店〉の斜向かいにある旧〈青い森信用金庫〉の建物前には八戸えんぶりの顔はめパネルが! 記念撮影して恵比寿様気分を味わったら次のお店へ進みましょう。

「平目漬け丼」が有名な〈みなと食堂〉を左手に道なりに進むと、大きなT字路があらわれます。東日本大震災時は、このT字路まで津波が押し寄せたそうです。今は穏やかな風景が広がっていますが、この何気ないまち並みのなかにも、忘れてはならない記憶が静かに息づいているのですね。
こちらのT字路を海の方へ進み、ひとつ目の信号を左手に曲がって徒歩1分。次の目的地が見えてきました!

鮮魚販売の〈尾崎商店〉です! もともと〈八食センター〉で鮮魚販売をおこなっていた同店ですが、コロナをきっかけに加工場をリニューアルして現在の場所でリスタート。新鮮な魚たちだけでなく、八戸港で水揚げされた水産物を加工した自家製商品も根強い人気があります。
2023年の4月には〈魚まる食堂〉もオープンし、海鮮丼なども楽しめます。ちなみに〈みなと食堂〉へ魚を卸している背景から、同じ味つけのタレを使用した「平目漬け丼」も食べられるのだとか! 次は食堂が開いている時間に行ってみたいです。

仕入れやお店の状況により、店頭にない場合もございます。
今回は「自家製漬けマグロ」(500円)を購入。シールのお父さんもめんこいです。タンパク質が足りてませんので、おいしく摂取させていただきます!(笑)
こちらは自宅に持ち帰り、白米の上にのせて食べました。自家製のタレが染み込んだマグロがうまかった……!
<shopinfo> 尾崎商店 魚まる食堂 |
住所:青森県八戸市新湊2-15-17 |
電話番号:0178-34-3241 |
営業時間:10時〜17時(食堂は〜14時30分) |
定休日:水・日曜 |
公式Instagram:https://www.instagram.com/maruki.o/ |

次に向かうのは〈Bagel嶋〉。館鼻朝市の方へ向かったのちに、八戸大橋の横の小道を入っていきます。車で行く場合は一方通行になっているので、お気をつけください。

残念ながら本日は休業日。〈Bagel 嶋〉は自家製酵母で手作りされたもちもちふわふわベーグルが大人気で、イベントなどに出店すると大行列ができるほどなのです! 特に豆乳とジャガイモを使用した「ソイじゃがベーグル」は、青森発の“やっこい”ベーグルです。次の日も柔らかいという噂……、食べたかったー!
営業日は不定期なので、事前に公式LINE、またはInstagramの営業日カレンダーをチェックしていくことをおすすめします。次は情報を入手してから来店するぞー!
<shopinfo> Bagel嶋 |
住所:青森県八戸市新湊3-8−16 八戸船舶電機株式会社 内 |
電話番号:070-1143-7564 |
営業時間:不定期 |
定休日:不定休 |
公式Instagram:https://www.instagram.com/bagel_shima/ |

さて、気を取り直して次は〈大安食堂〉へやってきました! 〈大安食堂〉といえば「館鼻岸壁朝市」で大人気の「しおてば」ですよね! そして「しおてば」といえばあの歌……。
「うまいっ手羽〜、うまいっ手羽〜、塩手羽だってば〜、大安食堂〜!」
つい脳内で何度も繰り返されてしまうこの特徴あるメロディ。「館鼻岸壁朝市」でもこちらの店舗でも、〈大安食堂〉に近づくと流れてくる。いったいどこから……。

CDラジカセで再生されてる〜〜〜!!
店舗の目の前にある小さな屋根付きテーブルにひっそりと置かれたCDラジカセ。気付いた筆者も思わず二度見。すごい。この歌につられて店内に吸い込まれてしまいます。

「しおてば」こと、手羽先の塩唐揚げは1本120円。「館鼻岸壁朝市」では大行列の「しおてば」も店舗では並ばずに購入できました!
冷めてもおいしいのが感動ものです。カリカリの衣に柔らかいお肉。いい塩梅の塩っけがたまりません。骨までしゃぶりたい、それが「しおてば」です。
しおてば以外にもコロッケや唐揚げも購入できますので、夕食のおかず調達にもピッタリですね。

〈大安食堂〉にも顔はめパネルが(笑)! すかさず写真撮影をしていきます。次の目的地へと足を進めますが、ついつい鼻歌で歌ってしまうのは「大安食堂〜〜〜」!
<shopinfo> 大安食堂 |
住所:青森県八戸市新湊3-6−1 |
電話番号:0178-34-6868 |
営業時間:7時〜18時 |
定休日:月曜 |

陸奥湊エリアを歩いていると、何匹かの猫とすれ違いました。やはり魚の多い湊町には野良猫も多いのだろうかと思いながら、ふと思い出したのは〈八戸市博物館〉にある「八戸市の妖怪・幽霊マップ」。実は八戸には意外にも多くの妖怪や幽霊の伝説が残っているのを、みなさんはご存じでしょうか?
陸奥湊エリアには3体の有名な妖怪・幽霊がいますが、イチョウの木の下に逆さに生き埋めにされた「岩渕かん子」、小中野で遊んだ漁師たちをたぶらかす「小手五郎キツネ」、そして「十王院のてんころばし」です!
てんころばしは球体なので、雨の日の夜に体を発光させながら十王院の坂を飛び跳ねて、人間たちを驚かせては転ばせていたそうです。なんて迷惑な妖怪なんだ(笑)。

十王院の目の前の坂。確かにここで驚かされたら滑って転びそう。
そんな妖怪の名前を掲げたドーナツ屋さん〈てんころばしドーナツ〉が本日最後の目的地! 2024年11月にオープンしたばかりですが、10時と15時の揚げたての時間に合わせて行列ができるほどの人気ぶりです。我々も列に加わり店内へ。

ついつい「端から端まで全部ください」と言いたくなってしまうガラス張りのディスプレイに、揚げたてのドーナツがずらり! 全4種類のドーナツがありますが、それぞれいくつか味を選ぶことができます。
今回は「フレンチクルーラー」のチョコ味(180円)、「イーストドーナツ」のチョコナッツ味(180円)とハチミツバター味(100円)、「たまごドーナツ」のきび砂糖味(130円)、「オールドファッション」のチョコクランチ味、つぶつぶいちご味、抹茶味(各160円)、おへそ(1粒 30円)を4粒購入。
……買いすぎた(笑)!! ドーナツひとつひとつが手頃な価格で、ついつい買いすぎてしまいました。

写真中央のドーナツが「イーストドーナツ」のチョコナッツ味。
ドーナツごとに食感、味わいがまったく異なり、何個食べても飽きないことに驚きました。個人的には「イーストドーナツ」のチョコナッツ味が一番好きでした! 生地がもちもちしていて食べ応えがあるだけでなく、チョコレートの甘さとナッツの塩味の塩梅がちょうどよかったです。
さぁ〈館鼻公園〉へ向かうぞ! と意気込んで外を見ると……。

おわかりいただけるだろうか。
大雨降ってるやないかーい(涙)。
このタイミングで大雨が降るなんて、陸奥湊には本当にてんころばしがいるのかも……!? まだ日中ですが、てんころばしに転がされないように気をつけて〈館鼻公園〉へ向かいました!
<shopinfo> てんころばしドーナツ |
住所:青森県八戸市新湊1-2-11 |
営業時間:10時〜18時 |
定休日:火・水・木曜 |
公式Instagram:https://www.instagram.com/tencorobashidonut/ |
せっかくのピクニックが土砂降りに……! でも大丈夫、〈館鼻公園〉ならね。
大雨のなか、たまたま持っていた折り畳み傘に2人でぎゅうぎゅうに入りこみ、急いで〈館鼻公園〉へと向かいます。本日のテイクアウト品を並べてピクニックでもしようと考えていたのに、どうしよう……。
そこでお困りのあなた! 〈館鼻公園〉なら大雨でも大丈夫! なぜなら屋内無料休憩所があるから!!

真ん中の三角屋根が〈無料休憩所〉。ペットを連れての入館は禁止されております。

利用可能な時間は9時から17時まで。ゴミ箱はないので持ち帰りましょう。
木材のあたたかなぬくもりに、雨に濡れた我々の心が癒されます。
というわけで、本日集めた商品をババーン! と並べてみます!

「シン・陸奥湊アベンジャーズ」と呼んでもいいのではないだろうか?
写真左側から〈八戸ソウルキムチ〉のキムチたち。〈大安食堂〉の「しおてば」。〈後村商店〉で購入した「イギリストースト」と「長者もち」。一番右側が〈尾崎商店〉の「漬けマグロ」。そして写真の中央を陣取っているのは〈てんころばしドーナツ〉のドーナツたち!
JR陸奥湊駅をスタートしてから約60分のまち歩き。途中大雨に降られるというトラブルもありましたが、おいしいもので心が満たされ、無事にピクニックを楽しむことができました!
朝だけじゃない! 昼も夕方も夜も楽しめる陸奥湊エリア。
今回歩いたコースは以下のリンクよりご確認いただけます!
※ルートにおける若干の違いあり。
https://maps.app.goo.gl/JtmmCaGuXH7RGQwW8
海沿いにあるため、鮮魚のイメージが先行しがちな陸奥湊エリア。漁師さんが漁から帰ってくる明け方から始まり、昼頃までが賑わいのピークとなるため、早起きをしなければならないと思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、テイクアウトできるお店が増えたり、新しいお店ができたりしたことで、お昼以降ものんびり楽しめるんです。今回のまち歩きで、新たな陸奥湊エリアの一面を発見することができて嬉しかったです。これまでの歴史を大切にしつつも、今、この時代を生きる人たちの手でこれからの陸奥湊エリアをつくっていけたらいいですよね。
今回のルートでは紹介できなかったお店もありますので、ぜひ次回以降に紹介していけたらと思います。