八百屋の本気をとくと見よ! 〈やまはる〉の「ふるーつサンド」で旬の果物をお手軽に楽しもう。

断面の美しさ、いわゆる「萌え断」が注目され、2021年には世の中で大ブームをおこした「フルーツサンド」。その大ブームは八戸市も例にもれず、八戸フルーツサンド時代を席巻したお店があります。それは、八戸市旭ヶ丘の地域の八百屋〈やまはる〉。八百屋の本気、とくとご覧あれ!

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小田桐咲-amy-odagiri

1996年生まれ。直感と勢いで生きる牡羊座。青森県八戸市出身。5歳から武術太極拳(カンフー)を嗜んでおり、2019年の全日本チャンピオン。2026年のあおもり国スポでの優勝を目指し、20208月にUターン。『海猫ふれんず』として地元の情報も発信中。育ててくれた街や人に感謝して、その恩を返していけるように活動していきたいです。
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八戸市旭ヶ丘にある生鮮食品スーパー〈やまはる〉。八百屋さんとして地域に愛されている同店は、八戸フルーツサンド時代で一世を風靡したといっても過言ではありません。
今回の記事では、八百屋本気の「ふるーつサンド」とその誕生秘話を紹介していきます。

〈やまはる 旭ヶ丘店〉。

まずは店内に入り、お目当ての「ふるーつサンド」を探していきます。いったいどこに……。

ありました!
レジ横に、ドーンッ! と鎮座しています。

ドーンッ!

萌え断たちがぎっしり並んでいる!

所狭しと並ぶ「ふるーつサンド」たち、そしてよく見るとパンとパンの間にぎゅうぎゅうに挟まっているフルーツたち……一刻も早くそこから出してあげたい!!

ということで、スタッフさんに相談し、3種類の「ふるーつサンド」を購入しました。

 

地域密着型八百屋〈やまはる〉、本気の「ふるーつサンド」を味わってみた!

今回購入した「ふるーつサンド」はこちら。

左から「バナナクッキー(ミント)」432円、「シャインマスカット」627円、「バナナクッキークリーム」378円。金額はフルーツの仕入れ値で変動するので、フルーツや時期によって異なります。

どの「ふるーつサンド」も、フルーツが大きくて食べ応えがありそう!

左は定番で一番人気の「バナナクッキークリーム」。通年で提供していることや、値段も安価なことから、圧倒的な人気をほこっています。中にはホイップクリームと大きなバナナとオレオクッキーが。見た目通りの間違いない味です。

右は「シャインマスカット」。旬のフルーツを使ったものとしてスタッフさんにおすすめいただきました。シャインマスカットのみずみずしさをそのままに、ほのかに甘いクリームと柔らかなパンとの相性は抜群です。

また、どちらのクリームも甘すぎず、フルーツに合わせた味わいになっているため、ずっしりとくる重さはありません。まるで王様を支える臣下のようなクリーム。推せます。

こちらが2023年10月から新発売の「バナナチョコ(ミント)」! 

〈八戸聖ウルスラ学院〉のバザーで試しに販売してみたところ、高校生に大人気だったのだそう! 食べた瞬間、スーッと爽快感を感じるミント味のクリームと、バナナやオレオクッキーの甘さのバランスがちょうどよく、チョコミン党のみなさん大喜びの味わいです。

そして何よりこの色合いですよね。ミント色とオレオのコントラストが美しく、まさに映え!

秋晴れの空の下、ピクニックをしながら家族や友人同士で写真を撮りあって楽しむのも素敵かもしれません。うーん、美しい!

 

〈やまはる〉の歴史からたどる、大ヒット商品誕生秘話。

1946(昭和21)年創業の生鮮食品スーパー〈やまはる〉。創業者は、中野春松さん。現在の代表である中野正信さんの祖父にあたります。当時は店舗も持たず、南部町で青果物を仕入れて八戸を販売したり、八戸から買い付けに来る背負子さん向けに商品を販売していたそうです。

その後、正信さんの両親が腰を据えた商売を始め、1969(昭和44)年に青果販売店として開業。高度経済成長期が追い風となり、商売は上々! 

当時はスーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなども少なく、安いものがとにかく売れていたそうです。そこで、青果販売だけではなく、鮮魚部門も取り入れることになり、ミニスーパー化していくことに。それが現在の〈やまはる〉の原型となっていったのですね。

しかし時代は変わり、スーパーやコンビニが増えてきたため、人々は簡単に「安く買い物」ができるようになっていきました。
だからこそ、いろんなものを安く売るのではなく、初心に戻って“八百屋としての商売”に力を入れるべきだと考えた正信さん。そのためにも、八百屋という特色を生かした名物商品をつくりたいと考えていたそうです。

そこで、当時のスタッフで「フルーツサンドをつくりたい」と言っている人がいたことや、巷ではフルーツサンドが流行っているという噂を聞きつけ、フルーツサンドづくりにチャレンジ。

何度も試作品をつくり、試行錯誤を重ねました。当初は20個ほど店頭に並べていたそうですが、次第に朝から並ぶ人が増え、気がついたら販売日の朝は、社長自らが出向かなければならないほどの交通整理が必要なほどに!

なぜこんなことに!? と戸惑っていた正信さんでしたが、大行列の理由はSNS。〈やまはる〉の「ふるーつサンド」を購入したお客さんが次々とSNSに投稿してくれたことをきっかけに、話題は話題を呼び、八戸のフルーツサンド時代を席巻するほどにまでのぼりつめたのです。

「お店でPRする以上に、お客さんが広告塔になってくださって、今の時代ならではの流行り方だと感じました」と正信さん。

メディアに取り上げてもらったことも追い風となり、こうして八百屋本気の「ふるーつサンド」は、〈やまはる〉史上、かつてない大ヒット商品となりました。

しかし、この勢いを一過性のもので終わらせてはいけない! という思いのもと、店舗スタッフ総出で「ふるーつサンド」生産に打ち込みました。世間のブームも落ち着き、今では安定した生産や販売を実現しています。

最近は、数種類ある「ふるーつサンド」を、味比べしながら複数ずつ購入してくださるお客さんも増えているといいます。デザートやケーキと同じように、お土産感覚で買っていってもらえることも。確かに、友人や親戚の家に遊びにいくときの手土産にぴったりです。

 

旬のフルーツを気軽に楽しく食べてもらいたい!

なんと今回、特別に、製造過程も見学させていただきました!

えっ!? シャインマスカット、こんなに入ってたの!?

パイナップルもキウイもでっっっか!! なんてこった、遠近感狂いそう!!!

〈やまはる〉の「ふるーつサンド」のメニューは時期によって異なります。それは旬のフルーツを取り入れているから。もちろん年間通して定番のメニューもありますが、そのときに一番おいしいフルーツが、「ふるーつサンド」にもなって登場します。

フルーツ自体、意外と気軽に楽しめるものではありません。予想より高価だったり、皮をむく手間があったりと、少し面倒くささを感じてしまうこともあります。実際、私は皮をむくのが嫌でフルーツを買わないことも多々あります(笑)。

「だからこそ、旬のフルーツを手軽に楽しく食べてもらうために、本気で『ふるーつサンド』の開発に取り組みました。食べておいしいのは当たり前。買ったときの嬉しさや、面白さも楽しんでもらいたいです」と正信さんは語ります。

八百屋仕込みの旬のフルーツを存分に使用した、ボリューミーでジューシーな季節の「ふるーつサンド」は〈やまはる〉ならでは! 手軽に楽しく、旬のフルーツを味わいたいものです。

 

専門店の力を生かして。“八百屋”のおすすめ、置いてます。

実は〈やまはる〉の「ふるーつサンド」の功績は、大ヒット商品になったことだけではないのだそう。

〈やまはる〉では、SNSや店頭で「バイヤーのおすすめ」として、ちょっと高くても本当においしいものを紹介・販売しています。

買い物が簡単にできるようになった現代、値段競争で大手チェーンに勝つことが非常に難しくなってきました。だからこそ現在は、“八百屋”という専門色に特化した商品を販売することを主軸に置いているのだそう。

「本当に価値のあるものを、お客さんは買ってくれるということを、フルーツサンドが教えてくれました。今では少し高くても、いいと思ったものを自信を持って販売しています」と正信さん。

どんな人でも本当にこだわりたいものは、少しくらい値段が高くても手に入れたいものです。

ただ安いだけの商売はもう終わり、八百屋だからこそ仕入れできるものを提供し、お客さんが本当に気に入ってくれるものを販売していくこと。これが、これからの八百屋さんの戦い方なのかもしれません。

左が中野正信さん、右はスタッフの秋山さん。

〈やまはる〉の「ふるーつサンド」ファンのなかには、「ふるーつサンド」がきっかけで同店に初めて足を運んだ人も多いのではないでしょうか。

お客さんの好みに合わせて、いろんな商品をたくさん用意している〈やまはる〉で、お好みの一品を見つけてみては?

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