八戸の音楽好き、集まれ。約5,000枚ものレコードに囲まれた〈レコード酒場EG〉。【三日町】

みろく横丁のすぐ近くに佇む光進ビルには、かつて、多くのディスコがテナントに入っていた──。夜な夜なたくさんの若者たちが音楽を楽しんでいたという歴史あるこのビルの地下で見つけたのは、当時からの“生粋の音楽好き”が創り出す、魅力的な空間でした。

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yui-o

青森県八戸市在住。2024年1月より他県から移住し、すでに八戸の魅力の虜に。
ナチュラルな食、そしてスポーツ観戦への関心が高く、八戸の食やスポーツと出合う場に積極的に赴く日々。

ビルの入口すぐ近くの階段を降り、いくつかの飲食店を通り過ぎたフロアの一番奥。そこに横格子の入口が目を引く〈レコード酒場EG〉があります。

扉を開けると、彩り豊かな奥行きのある空間が広がっていました。圧倒される約5,000枚のレコードたちとともにゲストをお出迎えするのは、大道栄喜さん。

店内に入りすぐ目に飛び込んでくるのは、ピンクの壁と大きなタペストリー。

EGの一番の見所といえばここ。壁一面のレコードの数々。

「60歳で定年退職することを決めていて、『辞めたら何かやろう』と考えていたんです。中学生のときからレコードを集めるのが趣味だったので、退職時にはレコードが手元にたくさんあった。家ではスピーカーで大きな音を出せないから、好きな音楽を流せる空間をつくろうと思ったのがこの店の始まりかな。ちなみに僕が最初に購入したレコードはビートルズの『Let It Be(レット・イット・ビー)』」。

今ではロックやジャズ、ソウル、Jポップなどジャンルを超えたさまざまなレコードをお店に置いていますが、時代が変わっても昔から変わらないのは、「やっぱりアナログが大好きということ」と、大道さん。

こだわりのターンテーブル。店内でそのとき流れているレコードは、横に飾られているジャケットをチェック。

EGがオープンしたのは5年前。コロナが流行するまさにその時期でした。

「このフロアは、知人が以前ライブハウスを運営していた場所。お店を始めるにあたって、『どこかいい場所はないか』と相談したところ、この場所と縁を繋いでもらうことができました。フロアにあるカウンターの場所に、もともとステージがあったのでそこはちょっと改装。あとはレコードラックをつけて、内装の色を塗ったぐらいで、当時の面影も多く残っていると思います」

店内に吊るされているこだわりの照明は、大道さんもお気に入り。一緒に運営している息子・元太さんのセレクトで革職人の友人に作ってもらったものだといいます。

店内を彩る牛革の照明。

EGの空間と相まってなんとも心地がよい、大道さんから語られるお店にまつわるストーリーの数々。「ここは自由な空間でありたい」と、大道さんは続けます。

「レコードを流している店内だからといって堅苦しくするつもりは全くないんです。いい音楽を聴いて、いい酒を飲んだら、みんなしゃべりたくなっちゃうじゃないですか。おしゃべりをしてもいい、騒いでもOK。そんな自由な空間作りが僕の理想です。無理はしない、リフレッシュできるような空気感を大切にしたいと思っています」

心地のよさは、こうした大道さんの空間作りからきているのかもしれません。

 

週末に出現するEGのイベントも注目!

ゲストはもちろん、主催者ごとに変わる演出もイベントの魅力。

EGではイベントも開催されています。このイベントの運営をするのは息子の元太さん。

「週1回ほどのペースで深夜にイベントを開催しています。ほとんど土曜日に開催することが多いかな。主に、僕の知り合いのDJが中心ですが、青森県内を拠点に活動している方だけではなく、東京や仙台など他県からの出演者も。八戸には深夜にイベントをできる空間が多くないので、ここが音楽仲間の憩いの場となってくれると嬉しいですね」

イベント開催のスケジュールについては、EGのInstagramで発信しています。

 

EGに来たらオーダーするべき、フード&ドリンク

EGでは、お酒と音楽だけでなく、フードメニューも楽しめます。ぜひオーダーしてほしいのが「牛すじスパイシーカレー」。5日間、じっくり火入れをしながらとろとろになるまで煮込んだ牛すじと、昆布だしの相性が抜群のカレールー。ほどよくスパイスが効いた、栄喜さんお手製のこだわりカレーです。お酒を飲んだあとに食べることも考えられ、サラッとした仕上がりに。

牛すじスパイシーカレー。

アルコールはもちろん、ノンアルコールカクテル用に常備しているフルーツのソフトドリンクも充実。お酒が好きな方、お酒が飲めない方も一緒にEGの空間を楽しめます。

取材日はラフロイグ(ウイスキー)とグレープフルーツジュースをオーダー。お通しのMIXナッツが嬉しい。

 

八戸で音楽を堪能しよう

店主の大道栄喜さんと息子の元太さん。

店名の「EG」は二人の名前の頭文字、そして「easy」が由来。大道親子が創り出す気軽自由な空間で、気の向くままに音楽とお喋りを楽しむのはいかがでしょう? きっと、気さくで親しみやすい大道親子との会話も、ここを訪れる楽しみのひとつになるはず。

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