八戸の食材を生かしたポルトガル料理とワインが楽しめる〈レスタウランテ & バール サウーヂ 〉【堤町】

ポルトガルワインに魅せられた夫婦が切り盛りする〈レスタウランテ & バール サウーヂ〉。30種類のポルトガルワインと、八戸の食材を使ったポルトガル料理。民族音楽ファドが流れる店内でゆっくりと過ごすことができるお店です。

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mamo
八戸市出身。えんぶりと三社大祭が好き。写真ブログ『すぐそばふるさと』をゆるく更新中。2018年、えんぶり写真集『えんぶりといきる』を自費出版し、東池袋カクルルで個展を開催。音楽フェスや文化関連の委員などもやってます。2020年、コロナ禍でひとり近場の歴史巡りを始める。音楽はもっぱらジャズとディズニーのサントラ。特技はマリオカート。実はドラムやります。コロナ禍が収束したらミッキーマウスに会いたい。

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市民に愛されるポルトガル料理店が2020年12月、堤町に移転オープン。

新店舗はテーブル席とカウンター席の計27席。グループでもカップルでも一人でもゆっくりと過ごせます。

お店を営むのは、上野貴志さん、佑子さん夫妻。貴志さんは八戸市内や東京都内の飲食店で経験を積んだ後、2007年にフレンチやイタリアンとは違うものを求めて佑子さんと一緒にポルトガルへの語学留学を決意。首都リスボンで半年間を過ごしました。


語学学校では、ヨーロッパから集まった生徒のなかに、アジア人は上野さん夫妻だけ。英語で進められる授業に追いつくのに必死で、佑子さんは「泣きながら勉強した」と振り返ります。

しかしホームステイ先のお母さんが作る家庭料理で食卓を囲んだことは、良い思い出だったようです。そこで出会ったのが、お父さんが「これが一番美味しい」と毎日飲んでいたワイン「シャミネ」。南部のアレンテージョ地方で作られる赤ワインで、どんな料理にも合う飲みやすさと深い香りに上野さん夫妻も魅せられました。

首都リスボンの旧市街「アルファマ」の街並みが描かれたタイル画。

帰国後、日本国内の輸入業社がシャミネを扱っていることを知り、お店を開くことを決意。八戸市内で初めてのポルトガルワインをメインとした飲食店としてオープンに至りました。

店内にさりげなく置かれた鶏の置物「ガロ」もポルトガル製。とても小さいので、探してみてくださいね。

八戸ハマリレーションプロジェクトが開催する『八戸ブイヤベースフェスタ』などに参加し多くのファンや飲食店仲間を得て、ワインだけでなくポルトガルの料理も提供するようになっていったといいます。八戸で唯一のポルトガル料理店としてインポーターとも良い付き合いが続いていて、常にポルトガルの美味しいワインを揃えています。

 

哀愁漂うポルトガル料理を、八戸の食材で。

店名の「サウーヂ」はポルトガル語で「乾杯」という意味。ポルトガルのワインを気軽に楽しんでほしいという思いを込めました。取り揃えるポルトガルワインは30種類!

カウンター席の床は大航海時代をイメージして実際に船の甲板に使われている木材を使っているそうです。

ポルトガルワインによく合うイチオシのメニューは「真イカの炙り 南蛮みそと肝のソース」(950円)。八戸に水揚げされた真イカを軽く炙って、特製のソースでいただきます。ちょっとピリ辛なソースは、イカの腑に塩をして一晩寝かせ、南蛮味噌や生クリームなどを加えた、貴志さんのオリジナル。貴志さんは「大航海時代に長崎に伝わった南蛮料理を八戸の食材で作りたかった」と語ります。

以前、お店を訪れたポルトガル人の男性が「これはポルトガルの料理だ」と言って美味しそうに食べてくれたことがあったのだとか。「ポルトガル料理には、理論じゃなくて、食べてハッと思い出すような感覚に訴えるものがある。八戸でしか食べられないポルトガル料理を提供したい」と佑子さん。

 

コース料理も一品料理も、お好きなワインやドリンクと一緒に。

ポルトガルワインがメインのサウーヂですが、お好みの飲み物もどうぞ。ワインの他に、ビールやノンアルコールカクテルやソフトドリンクも提供しています。

「おまかせコース」(4,200円)は、アミューズ、前菜、魚料理、肉料理、デザート、食後のドリンクをその日替わりで提供。開店当時からある「ひと手間ミートパイ」(800円)は、隠れた人気メニューです。

しっかり食べたいなら、「県産ホルスタインのロースト 季節野菜と」(3,200円)や煮込み料理の「イベリコ豚とモツのドブラーダ コヴィーリャ風」(2,600円)も。
ワインによく合う、生ハムやピクルス、ナッツ、チーズ盛り合わせ等もあります。

新店舗ではメニューに「マデイラワイン」を追加。ポルトガルの南西部に浮かぶマデイラ島で作られたアルコール度数の高い酒精強化ワインで、強い甘みは食後のおしゃべりタイムにぴったりなんだとか。

 

お土産に上野家のお子さんもお気に入りの「魚のジャム」はいかが?

サウーヂでお食事をしたら、お土産に「手造りサバパテ」「手造りイワシパテ」はいかがですか?
ポルトガルに滞在していた当時、お気に入りの食堂のテーブルに常に置いてあったのが、魚のパテ 。お通しとして自由に食べられて、とても美味しかったので、ついつい手が伸びて食べていたのだとか。佑子さんはこの思い出の味を八戸の食材で提供しようと、八戸港に水揚げされたサバとイワシを使ってパテを考案。2020年まで使っていた内丸の店舗を工房にして、専属のスタッフさんがひとつひとつ手作りで製造しています。

パッケージのイラストの原案は佑子さんが描いたもの。

このパテ、上野家では朝食の定番。お子さんも大のお気に入りで、朝ごはんでは「魚のジャム!」と喜んで食べるのだとか。塩とオリーブオイルで仕上げたパテは、フランスパンとよく合うシンプルな味。もちろん、ワインと一緒にどうぞ。

写真提供 サウーヂ

お好みでアレンジを加えて食べるのもおすすめ。
「バターと混ぜて冷やすとテリーヌみたいになっておいしいですよ」と佑子さん。
定期的にまとめ買いしているファンもいるそうで、中にはマヨネーズと混ぜてご飯にのせて食べる人もいるのだとか!取材班も食べてみました。マヨネーズを混ぜるとまろやかな舌触りになるので、さくっと焼いたフランスパンによく合いました。お好みでオリーブを載せて食べても良さそうです。

1袋45グラム。薄い封筒に入っているので、お土産にもぴったりです。

サバパテ、イワシパテは、サウーヂの他に、八戸市の八食センター、かぶーにゃ、カネイリミュージアムショップ、いっとくパン、チーズディ、青森市のA-factoryなどで販売しています。1袋45グラムで、1袋入りと3袋入りがあります。

 

サウーヂで素敵な夜を。

新店舗の外観や内装に「これ以上ないくらい満足している」「雨漏りしていた地下の店舗から10年、ようやくだった」と佑子さん。設計士にイメージを伝えたところ、外装も内装もすんなりと決まったそうです。

広くなったテーブル席と、少人数でゆっくり過ごせるカウンター席。新型コロナウイルスが収束したら、東京からファドの演奏者“ファディスタ”を定期的に呼んで、ライブを開く予定。

貴志さんがこれから目指していくのは、このお店でしか味わえない「八戸だから作れるポルトガル料理」。海の幸に恵まれた八戸で、ポルトガルに行かなくてもポルトガルが感じられる店にしていきたいと語っていました。

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