
実は「アチョーっていうやつ」じゃない。やさしく、つよい人を育てるカンフーを〈青森・八戸武術クラブ〉で始めてみませんか?
はちまちで記事を執筆している小田桐咲の本業であるカンフー教室〈青森・八戸武術クラブ〉を紹介します。カンフーって何? 習うとどんな良いことがあるの? どんな思いで指導に当たっているの? など、赤裸々に執筆いたしました! あふれんばかりの思いで非常に長い記事になってしまいましたが、ぜひご一読いただき、お子さんの習い事の検討材料にしていただけると嬉しいです。
はちまちで記事を執筆している小田桐咲の本業であるカンフー教室〈青森・八戸武術クラブ〉を紹介します。カンフーって何? 習うとどんな良いことがあるの? どんな思いで指導に当たっているの? など、赤裸々に執筆いたしました! あふれんばかりの思いで非常に長い記事になってしまいましたが、ぜひご一読いただき、お子さんの習い事の検討材料にしていただけると嬉しいです。
みなさんこんにちは、はちまちライター、小田桐です。
いつもは八戸市内のお店をポップに紹介しておりますが、今回の記事では、私の本業であるカンフー教室〈青森・八戸武術クラブ〉について紹介させていただきます!
まずはカンフーについて紹介します。カンフーとは中国武術の総称で、その起源は数千年も前にさかのぼります。歴史のなかで数多くの流派や種類が生まれ、現在では200〜300種類にものぼるといわれています。みなさんにとって聞き馴染みのある「太極拳」もカンフーの一種と考えていただいて問題ありません。
日本では、1960年代に日中国交正常化がすすむなかで、次第に太極拳が普及していき、今では健康体操のひとつとして多くの人から愛されています。また、1970年代から1980年代前半には、日本やアメリカで「カンフー映画ブーム」が巻き起こり、一気にカンフーの存在が世の中に広まりました。この記事を読んでいるみなさんのなかにも、ブルース・リーやジャッキー・チェンに憧れた方もいるのではないでしょうか?
「カンフーをやっています」と自己紹介すると、8割くらいの確率で「アチョー! っていうやつ?」と質問されます。残念ながら「アチョー」という機会はまったくありませんので、「アチョーっていうやつ」ではありません。
そんなカンフーをスポーツにした際の正式名称は「武術(ウーシュウ)」といいます。日本では「武術」の種目のひとつである「太極拳」の愛好者が多いことから「武術太極拳(ぶじゅつたいきょくけん)」という名称が採用されています。
武術太極拳は、己の演武を見せて点数をもらう表現スポーツです。14m×8mの競技コート上で1人で演武します。ペア種目や集団種目もありますが、基本的には個人の戦いです。空手の型や器械体操の床などの形式に似ていると思います。
種目は大きく分けて3種類。
伸びやかで大きく、ゆったりとした動作が特徴の「太極拳」。
中国南方が発祥で、両腕両脚を力強く使い、時には発声もおこなう「南拳(なんけん)」。
中国北方が発祥で、姿勢や動作が大きく伸びやかで、跳躍動作が多く含まれる「長拳(ちょうけん)」の3つです。
種目によって雰囲気やスピード感が異なりますが、洗練された動きから感じるしなやかな力強さ、思わず拍手をしたくなるようなキレの良さはかっこよく、選手たちの気迫を感じる演技には心うたれる魅力があります! 選手の強さ、美しさ、そして精神性がひしひしと伝わってくる競技は、他に類を見ないと思っています。
これらの3種目は競技化にあたって編集されたもので、比較的新しい武術として捉えられている一面もあります。これら3種類のほかにも、古くから親しまれ、研鑽が積まれている武術は「伝統拳」と呼ばれています。ちなみに私が得意とする2本の剣を操る武術「双剣」は「伝統拳」のカテゴリにあたります。
複雑だなと感じる方もいるかもしれませんが……、武術って200種類あんねん。ご了承ください。
競技の採点は10点満点で行われます。動作の質を見られ、基準に満たない動作やミスがあるごとに減点されていくA組が5点。演技レベルを見られ、選手のレベルに応じて加点されるB組が5点の、計10点満点です。全日本選手権や国スポのほとんどの種目は、こちらのルールが採用されています。
ほかにも、「難度動作」と呼ばれる難易度の高い技が組み込まれた套路(型)で競う「自選難度競技」や「国際第三套路」という種目では、上述したA組、B組の他に、難度動作が成功すると与えられるC組という点数が存在します。その場合の点数配分はA組5点、B組3点、C組2点となっています。
大会・種目によって使用されるルールが異なりますが、どちらにせよ、いかにミスをせずにいい演技ができるか、ということが競技のポイントになっています。
そんなスポーツ競技「武術太極拳(以下、カンフー)」を青森県で習うことができるのは、私が運営する〈青森・八戸武術クラブ〉です!
〈青森・八戸武術クラブ〉は、青森教室と八戸教室の2拠点で活動しており、現在は八戸市を中心に全18名の子どもたちが在籍しています。年齢は、年中さんから高校1年生までと幅広いものの、性別はなぜか女の子たちがほとんど。もちろん男の子も募集しています!!
このままでは〈青森・八戸武術ガールズクラブ〉になってしまう。来たれ、男子。
弊クラブでは、「キッズコース」と「ノービス・アスリートコース」のコースに分かれています。
5歳から参加できるキッズコースでは、入門レベルの套路(型)をならい、カンフーを通じて体を動かすこと、礼儀やあいさつ、コミュニケーションを学ぶことに重点をおいて指導しています。
元気いっぱいに、一生懸命にカンフーを練習している姿は、めんこいことこの上ありません。時には子どもたち同士で声をかけあって自主練習していることもあり、この世に『えらい子選手権』があるならば完全に優勝です。
待っている間に自主練習。えらいぞ!
小学校3年生以上から参加できる「ノービス・アスリートコース」は、大会での上位入賞やイベントでのパフォーマンス活動を目的に、器械(武器)種目なども練習しているコースです。
コースを問わず、ウォーミングアップではさまざまな運動を取り入れて、子どもたちの総合的な運動能力向上を目指しています。保護者の方からは「カンフーを始めてから、子どもの足が速くなった」という声をよくいただきます。他の競技に比べると、体幹や腸腰筋への負荷が強い競技だと思いますので、その副産物だと私は考えています。
カンフーでは柔軟性も重要です。ウォーミングアップが終わると、10分程度の時間をつくって柔軟をおこないます。大会がない時期では20〜30分ほど柔軟することもあります。
カンフーの選手ならば、つま先とおでこがつくのは当たり前。柔らかい子たちは顎まで届きます。柔軟は毎日の積み重ねが大切なのですが、ありがたいことに、コツコツ頑張ってくれる子が多く、入会時から体が柔らかくなっていく子が多いです。
柔軟を終えたら、ようやくカンフーの練習が始まります。キックやパンチといったカンフーの基本の動作を練習する「基本功」から始まり、套路(型)や跳躍動作の練習をおこないます。カンフーの跳躍動作は、ただジャンプするだけでなく、空中でキックをしなければならないので、習得するのには時間がかかります。コーチとしても教えるのが難しく、感覚的な話だけでなく、できるだけ理論的な部分も説明しながら指導するように心がけています。
弊クラブで最重要視しているイベントは、毎年秋に開催される『東北・北海道ブロックジュニア武術太極拳競技大会』。全コースの選手が出場し、特に上を目指す選手たちにとっては、全国大会出場のかかった大会です。同大会の成績により、翌年春に開かれる『JOCジュニアオリンピックカップ』に出場できるかが決まります。今年、弊クラブからは、3名の選手が代表に選ばれました! おめでとう!
また、遠征も年に何回かあり、遠くは宮崎県まで遠征に行かせてもらうこともあります。クラブ主催の合宿も定期的に開催しており、寝食をともにすることで、チーム力・生活力向上につなげています。
花火大会の日程と重なった合宿もありました。青春!
そんなクラブの指導をつとめるのは、私とクラブ顧問である菊地亮(きくち あきら)先生の2名。
菊地先生は、弊クラブの創設者です。私が学生の頃は、菊地先生の生徒としてクラブに通い、大人になって八戸にUターンした際に、現在の八戸教室を引き継ぐかたちとなりました。
菊地先生は現在、青森市にお住まいのため、青森教室を中心にご指導くださっています。八戸市と青森市で物理的な距離があるものの、いいチームワークで教室運営ができていると思っています!
2024年の佐賀国スポにて。いつもありがとうございます!!
コーチになって4年間、カンフーを習う選手たるもの「つよい子になってほしい」と願いながら、指導にあたっています。
ここでいう「つよさ」とは、体が強いとか、カンフーが上手で強いといったフィジカル面だけを指す言葉ではありません。つらくて苦しい場面でも、歯を食いしばって耐えることができたり、弱い自分にきちんと向き合うことができる「対自分」の心の強さも含まれます。
さらに、自分が苦しい経験を乗り越えたことがあるならば、目の前で困っている人や苦しんでいる人の気持ちに共感し、優しく手を差し伸べることができるような「対他人」の心の強さも持てるようになってほしいと思っています。礼儀やあいさつをしっかりできるということも、他人を思いやれる優しさのひとつと捉え、大切にしています。
クラブのメインテーマである「カンフーで、やさしくて、つよい人に」にはそんな願いが込められているのです。
そんな願いを、日々の練習では、「自分がしんどいときほど声を掛け合おう」と伝えています。
最近は体育館が極寒のため、ウォーミングアップでたくさん走ってもらっているのですが、非常にきついメニューとなっています。
当初、子どもたちは、自分がつらくなってくると雰囲気がどんどん暗くなり、最終的にはどんよりとした顔で終わる場合がほとんどでした。しかし最近では、メニュー後半のつらいタイミングになってくると、「加油(じゃーよー)!」の声が聞こえてきます。
「加油」とは中国語で「がんばれ」の意味。「ランニングメニューがつらいのはみんな一緒なのだから、自分がどんなに苦しくても、つらそうな仲間を鼓舞するために、つらい自分に負けないために、声を出していこうよ! 頑張っている子を孤独にしてはいけないよ」ということを何度も伝えていたら、自然と声が出るようになっていきました。
今はただ、コーチに言われたから声を出してるだけかもしれませんが(笑)、いつか大人になったときに、この本質を理解してもらえたら嬉しいなと思っています。
メニューを終えて風を求めながら柔軟をする後ろ姿。よくがんばりました! でもまだウォーミングアップだよ!
カンフーでは「抱拳礼(ほうけんれい)」とよばれるあいさつをおこないます。右手は拳、左手は掌(しょう。4本指をそろえて伸ばし、親指を曲げて手のひらを張った形)をつくり、胸元で合わせます。抱拳礼にはきちんと意味があります。
抱拳礼の右手の拳は武術家としての物理的な力を、左手の掌は崇高な精神を表し、「自分の力は、他人を傷つけたり、私利私欲のために使いません」という約束の証でもあります。また、両手を合わせて輪をつくることで世界を表しており、「仲間との団結、調和を大切にします」という意味も込められているそうです。
抱拳礼の意味にもあるように、カンフーの大きなテーマはやはり、心の強さを鍛えることなのだと考えます。本当に“つよい”人は、どれだけ自分が強大な力を持っていても、自分で自分をコントロールできるし、大切な人を守るために使うことができるし、困っている人や傷ついている人に優しく寄り添うことができる。
子どもたちにはカンフーを通じて、人間として“やさしくて、つよい”、かっこいい大人になってほしいと願うばかりです。
昨今、世間では「ありのままの自分で」や「他人と比べない生き方を」というワードをよく見かけるようになりました。また、学校内の運動会やマラソン大会といった行事で順位づけがなくなるなど、評価の優劣をつけない時代となってきたようです。そうした取り組みを否定するつもりはまったくありませんが、資本主義のこの国で、競争をポジティブに捉えられないまま大人になるのは非常に大変なことだと私は考えています。
教え子に伝えているのは「アスリートとしてスポーツと向き合うならば、勝つことにこだわってほしいと思うものの、勝つことがすべてではない」ということです。もっと言い換えると「勝つことは自己成長のための手段であって、目的になってはいけない」ということ。
カンフーは表現のスポーツですから、誰かに評価され、優劣をつけられるのが当たり前です。だからこそ、勝つことを目的にして周囲を妬んだり非難したりするのではなく、勝ちにこだわりながらも、自分の行動や考え方を変えることを恐れず、よりよい自分へと成長していくことに、カンフー選手としての本質的な面白さがあると感じます。
弊クラブではカンフーを通じて、成果に固執するポジティブな競争を楽しみ、努力を積み重ねる面白さややりがいを体験してもらいたいと思っています。そうした体験を、今度は勉強でも、恋愛でも、大人になって社会に出てからも生かしていってもらえたら嬉しいです。
まずはみなさま、ここまで記事をお読みくださりありがとうございました。まだまだ書き足りないほどの熱量で、八戸という地方で、カンフーを広める活動をしております。
私は〈青森・八戸武術クラブ〉の指導者でありながら、現役選手でもあります。国内では珍しいタイプの選手兼コーチかもしれません。選手活動では、八戸市内の企業様から応援スポンサー契約を結ぶなど、たくさんの方に応援いただいております。
二足の草鞋は大変なことも多いですが、教え子たちに、選手としての在り方を背中で見せてあげられることは指導者としてひとつのアドバンテージだと思いますし、教え子たちの誇りになれる“つよい”選手でありたいと思い、日々頑張ることができています。
ですが、私は昨年のSAGA国スポで5位という成績で終わり、自分の能力の天井を感じてしまいました。青森県にはすぐ会える距離に指導者はおらず、仲間もいない。ひとりでの練習はもう無理かもしれない、と思いました。
ですから自分の天井を破壊すべく、中国に武者修行に行くことにしました!
今の私が向かうのは、2026年の青森国スポでの優勝です。それだけでなく、カンフーを、県民のみなさんに応援してもらえる競技へとしていくことも目標のひとつです。
現役選手として私に残された時間は2年弱。時間がありません。
そのために、本場・中国へ赴き、心も体も鍛えていきたいと思います。
2月20日より、中国遠征のための遠征費を集めるクラウドファンディングを実施いたします! みなさまどうか、お力添えをよろしくお願いいたします。
詳細は以下のリンクよりご覧ください!
こちらは2022年に出演した「八戸kidsパフォーマンス劇場」。
最後になりますが、告知です!
2月23日(日)にSG GROUPホールはちのへ(八戸市公会堂ホール)で開かれる『八戸パフォーマンス☆シアター』に出演することが決定しています!!
チケットは1枚500円、当日券ももちろんあります(現金のみ)。弊クラブは11番目となっておりますので、15時すぎくらいの出番になりそうです。
たった10分間の舞台ですが、チームメンバーが一丸となって練習しておりますので、ぜひ多くの方に足を運んでいただけましたら幸いです。
今はまだ、18名の小さなクラブですが、いずれは八戸市のみなさんに知ってもらえるようなクラブ、競技にしていきたいと思っています。
見学・体験はいつでも受け付けています! ご興味のある方はぜひご連絡くださいませ〜!
〈青森・八戸武術クラブ〉 連絡先:aomori.kungfu@gmail.com |