割烹の中に和スイーツ店!? 〈時空〉で異次元な美しさのスイーツを楽しもう。【柏崎】

インスタグラムで「八戸スイーツ」と検索すると、必ずといっていいほど上位に登場する〈時空〉の「苔玉」。細部にまでこだわってつくられた芸術的なスイーツは、手みやげにも自分へのごほうびにもぴったり。〈時空〉の異次元スイーツ、ぜひご賞味あれ!

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小田桐咲-amy-odagiri

1996年生まれ。直感と勢いで生きる牡羊座。青森県八戸市出身。5歳から武術太極拳(カンフー)を嗜んでおり、2019年の全日本チャンピオン。2026年のあおもり国スポでの優勝を目指し、20208月にUターン。『海猫ふれんず』として地元の情報も発信中。育ててくれた街や人に感謝して、その恩を返していけるように活動していきたいです。
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本八戸駅南口より徒歩3分。〈割烹 萬鱗〉内に併設するのは、和の季節をテーマにしたスイーツ店〈時空〉です。

〈割烹 萬鱗〉内にあることも手伝ってか、格式高い雰囲気に少し緊張してしまいます。店内に入ると、内装は和のテイストで統一され、川のせせらぎを思わせるような心落ち着くBGMが流れており、まるで本当に時空を超えて異次元へと迷い込んでしまったよう。

完璧に磨かれたショーケースの中には、芸術的なスイーツたちが所狭しと並んでいます。

こんなに美しいショーケース、筆者は見たことありません。美術館かな。

〈時空〉といえば、2022年6月のオープン直後、インスタグラムでは「苔玉」が話題になっていました。

〈時空〉の製造チーフである對馬健爾(つしま けんじ)さんは、実は洋菓子職人出身。

「和スイーツをつくるうえで特に気をつけているのは、お菓子そのものを味わってもらうこと。具体的には、味と食感を楽しんでもらえるようなスイーツを目指しています」と語ります。

材料には県産のたまり醤油や黒胡麻を使用したり、和三盆と呼ばれる砂糖を使用して生クリームや焼き菓子をつくるなど、和の素材えらびにもこだわっています。また果物が主役になるようなスイーツではなく、厳選した和の素材そのものを生かした味わいになるようにしているのだそう。

今回はそんな〈時空〉の看板メニュー「苔玉」だけではなく、春のおすすめスイーツも紹介していきます!



〈時空〉といったらこれだ! 和の素材を生かした本格和スイーツを召し上がれ。

〈時空〉に来たら必ず食べてみてほしい、「苔玉」530円。

あまりにも美しいフォルムに、いったいどこからどうやって食べるのが正解なんだ! と困惑ぎみの筆者ですが、思い切ってスプーンですくい上げてみることにしました。

すると、なめらかなムースの奥に、焦茶色のゼリーのようなものが! 予想外すぎて驚きを隠せません。

実は「苔玉」の構造は3段構造。

外側から抹茶のムース、ほうじ茶味の葛きり、そして一番内側には大納言と呼ばれる甘納豆が閉じ込められています。上部にのっているのは、露をイメージした透明な葛きり。

近年、インテリアに苔を取り入れるカルチャーが流行の兆しを見せていますが、苔を愛でる文化は日本独自の「わび・さび」の考え方がもとになっているようです。「わび・さび」とは、派手さや完全性を追い求めるのではなく、どこか寂しげなものに趣があると考える日本特有の美意識のこと。それを体現する植物こそが苔だったのです。室町時代以来のちょっとしたリバイバルブームかもしれません。

〈時空〉がどんな店なのかがひと目見てわかるように、と考案された「苔玉」。和の魅力を伝えるという〈時空〉のコンセプトを体現しているスイーツですね。

ちなみに、店舗入り口にはリアル苔玉が。

花が咲いていないさまもまた、いとをかし。

店舗オープンのお祝いにもらったという苔玉。商品の「苔玉」の開発とはまったく関係がないそうですが、ある意味お店の顔にもなっています。こちらの苔玉も、植えられた花が咲く頃には、静かにお花を支えているのでしょう。その健気さに愛着が湧いてきてしまいます。また会いにくるからね。

次に紹介するのは、「意匠」580円と、「抹茶」550円(イートインのみ)。

「意匠」は、奥深い宇治抹茶の“てぃらみす”。ふんわりとしたムースの感触が、優しくスプーンを出迎えてくれます。クリーミーなムースと濃厚な抹茶のスポンジとの相性は抜群。抹茶の奥深さを垣間見たようでした。

そして何より器がかわいい。食べ終わったあともインテリアで使えそうです。

「抹茶」は静岡産を使用しています。27年間、抹茶に触れることがほとんどない人生を歩んできた筆者ですが、〈時空〉の抹茶は苦いのに苦くない、旨みたっぷりな味わいでした。香りをかぐと「私って日本人だったんだ……」と思うほどに、心が落ち着きます。ああ……、私は今、時空を超えて平安時代の京都に来ています。知らんけど。

イートインスペースでは、抹茶以外にコーヒーやリンゴジュースも楽しむことができます。

最後に紹介するのは、季節限定スイーツの2つ。

はぁ、美しい……。なぜピンク色がいるだけで、こんなに明るくなるのか。

左から「山桜」490円、「芳春」480円。

2つとも、春らしさを感じる明るいスイーツになっています。

「山桜」はなめらかなミルクプリンの上に桜色のゼリーがのっています。通常ゼリーというと、ゼラチンを用いてつくるのが一般的なのだそうですが、「山桜」では葛でつくったゼリーを使用。固まりすぎず、柔らかさを保ったゼリーを楽しめます。花びらは白餡を使った羊羹を薄く伸ばして形取ったものであり、小さいのに羊羹の味をしっかりと感じます。この小さな花びらが、和スイーツとしての説得力を強めているんですね。

「芳春」は、桜のクリームとこし餡の羊羹がシュー生地に挟まっているスイーツです。羊羹の隣には、きなこ味のカスタードクリームも隠れています。また、「芳春」で使用している羊羹には葛が使用されているのだそう。一般的な羊羹には寒天が使用され、ぷるっとした硬めの食感を味わうことが多いのですが、葛を使用していることにより、ねっとりとした硬さの羊羹を楽しむことができます。

さらに驚いたのはシュー生地です! 撮影後に食べたので、常温で少し時間が経ってしまった「芳春」でしたが、シュー生地は時間が経ってもふにゃふにゃになることがなく、硬さを保っていたのです! 硬いままでいてくれてえらい!! 外側のシュー生地と内側のクリームや羊羹との食感の違いで、飽きることなく食べることができます。

そして、桜の花びらのほうを最後に食べることをおすすめします。塩漬けされた桜の花びらが甘めのクリームにマッチして、少し爽やかな気持ちでスイーツを食べ終えることができました。

どちらのスイーツにも入っている白玉は、非常に弾力があり、食べ応え抜群なもちもちさです。もちもち白玉党のみなさんはぜひ一度召し上がっていただきたい!!

写真映えしかないイートインスペース。

和スイーツと共に、日本文化を後世へ。

なぜ割烹料理店内に、和スイーツ店を開くことにしたのでしょうか? 若女将の大沼亜貴子(おおぬま あきこ)さんにお話をうかがいました。

カウンター席もあります。おひとりさまでも大丈夫!

一番大きな要因は、近年の割烹料理店の利用需要の低迷です。コロナ禍が始まるより前から、いわゆる高級料理店の利用が全国的にも徐々に勢いを失っており、特に若者の間では、カジュアルでリーズナブルなお店の利用が増えています。

こうした世の中の変化を踏まえて、今後の事業展開を模索したなかで、新しく和スイーツの領域に踏み込むことに決めたのだそう。

大沼さんには〈時空〉を営んでいくなかで、日本文化を後世に伝えていきたいという思いもありました。

例えば、抹茶の飲み方ひとつとっても作法があります。なかなかお稽古に行ったことのない人にとっては縁遠いものかもしれません。文化とは、世の中の移り変わりと共に変わっていくものですが、そういった伝統的な日本のカルチャーは、日本人が忘れてはいけないものだと思います。

今後の展望については、「お土産にも持っていけるような常温保存可能な生菓子に挑戦していきたい」と語る製造チーフの對馬さん。

現在〈時空〉では、ショーケースに並んでいるスイーツ以外にも「ふぃなんしぇ」や「ぱうんどけーき」、「くっきー」といった焼き菓子もラインナップ豊富に取り揃えています。

「あとは、季節の野菜を取り入れたものもつくってみたい」と對馬さん。ごぼうやそばなど、地元には使えそうな食材がたくさんあるのでいろいろとチャレンジしていきたいと語ってくださいました。地元食材をつかった和スイーツ、楽しみです!

誰かへのプレゼントに、自分へのご褒美に、日常生活に疲れたときに、ぜひ〈時空〉へ足を運んでみてください。

のれんをくぐったその先には、時空を超えた異次元の癒し空間があなたを待っています。

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