※閉店※登録有形文化財の大正モダンな建物で味わう〈青森自慢料理ほこるや〉の郷土料理。【八日町】
江戸時代に創業した造り酒屋〈河内屋〉の旧本社を飲食店としてよみがえらせたのが、八日町の〈青森自慢料理ほこるや〉。シャモロックや倉石牛、馬肉、海鮮といった地場の食材を使ったメニューから、いちご煮、せんべい汁、蕎麦かっけなどの郷土料理まで楽しめるため、県外からの旅行者にも評判のお店です。
江戸時代に創業した造り酒屋〈河内屋〉の旧本社を飲食店としてよみがえらせたのが、八日町の〈青森自慢料理ほこるや〉。シャモロックや倉石牛、馬肉、海鮮といった地場の食材を使ったメニューから、いちご煮、せんべい汁、蕎麦かっけなどの郷土料理まで楽しめるため、県外からの旅行者にも評判のお店です。
八戸ポータルミュージアム〈はっち〉や、マチニワ、ダイワロイネットホテルにポレスターマンションなど、新しい建物が並ぶ目抜き通りに、そこだけタイムスリップしたかのような、昔ながらの佇まいを残した建物があります。
江戸時代に創業した〈河内屋〉(現・八戸酒類八鶴工場)の旧本社を活用した木造二階建て店舗で、現在は青森の地のものを楽しめる料理店〈青森自慢料理ほこるや〉として営業しています。
建造されたのは大正13(1924)年の八戸大火の直後ですが、のちに電線の地中化のために解体、平成10(1998)年に復元されました。
ロシア風建築とアールデコ様式を取り入れた大正モダンな外観が特徴で、ひさしの欄間にはめ込まれたステンドグラスからは、店内の明かりがこぼれる設計になっています。1998年には国の登録有形文化財にも指定されました(登録名称は旧河内屋橋本合名会社)。
建物の随所には、歴史を感じさせる意匠が残っています。例えば、正面の窓についているこちらの手すりは、かつて馬つなぎとして使われていたのだとか……!
また、〈河内屋〉では電話開通にも尽力したそうで、八戸の電話番号の“1番”は長年〈河内屋〉だったという逸話も残っています。
店内には、酒造業の名残を感じさせるポスターや、酒甕も大切に保存。
その昔、お酒は年長者だけが口にできる貴重な飲み物だったため、商品名は「老の友」。松の中に老人のお面が浮かんでいますね……(夜は目を合わせたくない!)。
※普段はマスクを着用して営業。
歴史のある〈河内屋〉の建物を使い、〈ほこるや〉がオープンしたのは2007年のこと。料理長の川村満さんは、オープン当時をこう振り返ります。
「店名の〈ほこるや〉には、『自慢する』という意味が込められています。南部の人って、自慢するのが得意じゃない。でも実際には『海の幸にも山の幸にも恵まれていて、いい食材がたくさんあるでしょ』と。八戸の名産にはイカ刺しやいちご煮などの海のものが多いですが、肉もおいしいんです」
長年愛されてきた建物は、時代の移り変わりを見つめてきました。
「80歳くらいのおばあさんが来店されたときに、『このへんは大きな土間だったのよね』と懐かしんでおられました」
“青森を自慢する料理”は、ランチとディナー合わせて70〜80種類にもなります。そのなかでもお店の名物になっているのは、3種の肉を一度で楽しめる「義経鍋」(二人前3,800円)。※「義経鍋」は現在、提供を停止中。9月頃再開予定。
「義経鍋」とは、五戸町を中心に食べられている馬肉料理です。
“義経”はもちろん、源義経のこと。兄・頼朝と対立し、平泉に落ち延びた末に自刃したといわれていますが、実は生き延びて八戸に立ち寄ったとされる一説があり、八戸市内にも『義経北行伝説』として語り継がれています。その際に源義経一行が、ひっくり返した兜を鍋の代わりにして野鳥などを調理したとされる説から考案されたのが「義経鍋」というわけです。
〈ほこるや〉で使用しているのは、南部鉄器製の鍋。“兜の頭”に見立てた部分では水炊きが、“兜のつば”を思わせる鉄板部分では焼きものができます。
五戸町で主流の馬肉だけでなく、〈ほこるや〉では3種の銘柄肉を用意し、青森シャモロックのモモとムネ、倉石牛のランプ、十和田産馬肉のミスジと、贅沢な組み合わせ。付け合わせには豆腐や水菜、ネギ、しいたけ、白菜、ごぼうの定番に加え、旬の食材が登場することもあるそう。
料理長の川村さんおすすめの食べ方は、「先に鉄板で焼いて肉の脂の甘さを楽しみ、あとから水炊きでさっぱりと召し上がってください」とのこと。
水炊き用のだしはシャモロックのガラやモミジを5時間ほど炊き出しているほか、ポン酢も自家製で、ダイダイという柑橘の酢をベースに、しょうゆや酒、みりんで調味するなど、とても手間がかかっています。
〈ほこるや〉ではランチもお見逃しなく。
「牛ステーキ重(ランプ)」(2,300円)や「親子丼」(1,080円)などの月替わりランチから、せんべい汁かひっつみから選べる定食(1,100円)、「八戸前沖天丼」(930円)といった、比較的リーズナブルなラインナップも。
「八戸定食」(1,500円)は、ふっくらと焼けたホッケや、イカの刺身と〆さば、鮭といくらの親子丼、せんべい汁、小鉢など、充実の内容。鶏そぼろ入りのせんべい汁は、醤油ではなくお吸い物をベースにしたタイプで、あっさりとした上品な味でした。
個室や半個室などの席タイプもあります。
大正時代から約100年にわたり八戸の中心街を見つめてきた歴史的建造物で、青森の自慢の食材を使った料理を味わってみませんか。
夏の期間は店舗前の会場で『ほこるや×北海道ビアガーデン2021』を開催中(雨天は店内の場合あり)。
生ラムジンギスカンがメインの「北海道ジンギスカンコース」、美保野牛・美保野ポーク・ラムを味わえる「美保野コース」、ホタテやイカ、エビなどの海鮮とラムの鉄板焼きを楽しむ「海鮮コース」は飲み放題付きで各5,000円。他に単品もあり。
ビアガーデンは月曜〜土曜の17時〜21時LO。3名以上で要予約。