ショーケースにピンチョスがずらり。〈スペインバル リベル〉でサクッと立ち飲み。【六日町】
六日町のバス停から徒歩3分。スペインの国旗が目印の〈スペインバル リベル〉。ショーケースに並ぶ色とりどりのピンチョスに頭を悩ませながら、八戸唯一の本格スペインバルで、ちょっと一杯、飲んでいきませんか?
六日町のバス停から徒歩3分。スペインの国旗が目印の〈スペインバル リベル〉。ショーケースに並ぶ色とりどりのピンチョスに頭を悩ませながら、八戸唯一の本格スペインバルで、ちょっと一杯、飲んでいきませんか?
コロナ禍で飲みに行くことがはばかられる世の中ではありますが、ふらっと気軽にお店に入り、ちょっと一杯お酒を飲みたい……そんなときはありませんか?
私はあります。
待ち合わせより少し早く中心街に着いてしまったとき、二次会が始まるまでの時間を持て余してしまったとき、日脚が伸びてきたから明るいうちにおいしいお酒が飲みたいとき。
そんな「ちょっと一杯」を、みなさんはどこで楽しんでいますか?
行きつけのお店がある方にも、特に思いつかないという方にも、ぜひ知ってほしいお店があります。
それは、〈スペインバル リベル〉。
六日町のバス停を降り、十六日町方面に直進していくと、左手側にぶら下がっているスペインの国旗が目印のお店。みなさんの「ちょっと一杯」が実現できる八戸市内唯一の本格スペインバルです。
〈スペインバル リベル(以下、リベル)〉は、高橋幸司(たかはし こうじ、以下、コージ)さんが経営している立ち飲みスタイルの本格スペインバルです。
もともと、岩泉町で3年半ほど営業していましたが、2020年1月25日に現在の場所へと移転してきました。
道路に面した大きな窓からは、街の様子が見える。
そんな〈リベル〉の最大の魅力といえば、カウンターに並ぶおつまみたち。“ピンチョス”と呼ばれる一口サイズのおつまみが、すでに完成された形で、カウンターのショーケースに並んでいます。
寿司店のカウンターなどで見かけるショーケースに、完成形の料理をカウンターに並ベているお店は、あまり見たことがないのでは?
メニュー表に載っている写真ではなく、ショーケース内の実際に食べられる料理を見て、選ぶ。
あれが食べたい、こっちもおいしそうと、目移りしながらも、ワクワクした気持ちでピンチョスたちを見つめてしまいます。まるで、ケーキ屋さんでケーキを選んでいる気分。
そして驚くべきはその値段。なんと、ピンチョスはひとつ300円から!
これならいくら食べてもお財布に優しいですね。
左から、「フレッシュトマトのスープと半熟卵」(420円)、「フムス・パプリカ・ズッキーニ・オリーブのヴィーガンピンチョス」(330円)、「ミニチーズバーガー」(340円)。
ピンチョスのメニューは、その日仕入れた食材で考えているため、ほとんどのメニューが日替わり。もちろんピンチョス以外のフードメニューを注文できます。
その日によって、コージさんの気まぐれメニューが出てくることもあるんだとか。
今日はどんなメニューがあるんだろう? と、お店に入る前からワクワクしてしまいますね。
ピンチョス以外のフード、ドリンクは店内奥の大きな黒板を見ながら選べます。
左はシードル(700円)、右はノンアルコールビールとパッションフルーツシロップのカクテル(500円)。スペイン産のシードルが八戸で飲めるのは、唯一〈リベル〉だけ!
「海老のアヒージョ」(800円)。オイルをパンにつける前に、スプーンで海老の頭を潰すのが〈リベル〉流。海老のうまみがオイルの中に染み渡ります。
また、日曜日のみ営業時間が15時開店となっており、昼からサンドイッチやカレーライスと共にワインが楽しめます。休日の昼下がりのワイン……想像するだけで最高!
コージさんに、〈リベル〉の魅力を一言でお願いします!と聞いてみたところ、「“やすい、はやい、うまい”、かな!」と答えてくれました。言い得て妙(笑)!
仲良しのデザイナーさんに制作してもらったというロゴ。BARのAは、ピンチョスの本場であるバスク地方で使われているフォントなのだとか。LiBERのiは、ラウブルと呼ばれるバスク十字をモチーフにしているのだそう。
スペイン式の“バル”は、バーと食堂が一緒になった飲食店のこと。特に、ピンチョスやタパスといった小さなおつまみがカウンターに並んでいるのが特徴的です。
スペイン現地のバルでは、ビールやワインといったアルコールだけではなく、お昼も営業していて、コーヒーなども楽しめるそう。
朝や昼はコーヒーでランチを楽しみ、夜はアルコールで乾杯! というように、日常の一部となっているスペインのバルは、地域のコミュニケーションの場にもなっているのだとか。
エスカンシアールという方法でシードルを入れてくれたコージさん。高い位置から注ぎ入れることで、空気が多く含まれるため、酸味がまろやかになるのだそう。おいしいお酒が視覚的にも楽しめてしまう!
「スペイン式のバルを選んだのは、楽しそうだったから」とコージさんは話します。
もともとスペインに縁があったわけではなく、たまたまたどり着いた業態がスペイン式のバルだったのです。
実際にスペインへ足を運んだ際、バルが文化として人々の生活に馴染んでいる光景に強い魅力を感じたそうです。
全国的に“バル”と呼ばれる業態は普及してきたものの、スペインと同じようなスタイルのバルは、現在八戸には〈リベル〉以外にないといいます。
だからこそ、まずはこのスタイルを知ってもらって、うまく楽しめるように広めていきたいとコージさんは目を輝かせていました。
取材日のコージさんの気まぐれ料理「ホットサンド」(380円)。テイクアウトもOKです。
ワクワクしながら、目の前に並ぶおいしいおつまみを選んで、食べて、飲んで、店主や仲間、はたまたその時居合わせたはじめましての人たちとも、気軽に盛り上がることができる場所。
それがここ、〈リベル〉です。
この日だって、0次会として飲みにきたカップル、仲間で盛り上がっているお客さんたち、「コージさんのうまい飯を食べにきた!」という男性客と、色んな人が入れ代わり立ち代わりにお店に来ては後にしていきました。
コージさんの友人が作っているスペインの伝統菓子「ポルボロン」(250円)。口の中で崩れないうちに「ポルボロン」と3回唱えることができたら幸せになれるといわれています。みなさんもお試しあれ!
実は店主のコージさん、〈リベル〉の経営だけではなく、『0178crew〜地域密着型料理バラエティ〜』というチャンネルでYouTube活動もしています。今後の展望について聞いてみると、真剣な眼差しで答えてくださいました。
「20年後も、30年後もこの仕事を楽しく続けていきたい。そのためにも、街で飲んで遊ぶ面白さや、その方法を若い世代に発信したいと思ってるんだよね」
私たち若者と呼ばれる世代の悩みのひとつ。それはまさしく、“どこで飲んだらいいのか分からない”問題です。
金曜日の深夜遅くに帰ってきた父は、一体どこで飲んでいたのか。学生時代から続くその謎は、25歳になった今も解けないまま……。
なぜなら、気になるお店があっても怖がって入れず、結局いつものチェーン店に入ってしまうのです。
そんな思いを打ち明けると、コージさんは優しく笑ってくださいました。
「うちだけじゃなくどの飲食店もそうだけど、とにかく怖がらずに入ってみてほしいな。みんなよくしてくれるから」
私だって、本当は知っているのです。
八戸の人たちはみんな優しいということを。
お店に入れば、あたたかく迎え入れてくれることを。
そしてその先で、私がまだ知らない“八戸の面白さ”が顔を見せてくれることを。
ただ自分に、少しの勇気が足りないだけ。
だから、たまには勇気を出して、入ってみたいお店に入ってみませんか?
勇気が出ないのなら、〈リベル〉に立ち寄って、ちょっと一杯、ひっかけてみてください。
あたたかく受け入れてくれるコージさんから、きっと勇気をもらえるはずだから。
誰かが教えてくれるのを待つのではなく、自分からふるさとを知っていく。
これからの面白い八戸を作るのも、八戸で楽しく遊ぶ方法を作るのも、私たち自身なんですね。
さて、取材兼0次会が済んだところで、待ち合わせ場所に向かうとしましょう。
今日のお店はまだ決まっていないので、勇気を出して、ずっと気になっていたお店を提案してみようと思います。