
〈はっち〉の正面玄関から入って左手にあるのが、2024年12月にオープンした〈Cafe&Bal Rōast〉。カフェの入り口では「Gōōd Rōast Gōōd Days.」の文字がお出迎え。その奥に、大きな窓から光が差し込む開放感たっぷりの空間が広がります。

カウンター正面の壁には店名のネオン看板が。その柔らかな白い光は、グラスを傾ける人々の笑い声が聞こえるようなバルらしい雰囲気を醸しながらも、明るく落ち着いたカフェ空間とも心地よく調和しています。

お店の外にはテラス席も。季節ごとに表情を変える中心街の景色とともに、風を感じながらゆったりとした時間を楽しめるのも当店の魅力です。
私の“好き”をあなたにも
オーナーの中村望裕斗(みゅうと)さんは青森県五戸町出身。飲食業界での経験を積み、八戸中心街で居酒屋〈ミライザカ〉とパン屋〈小麦の奴隷〉をフランチャイズ経営しています。
「今度はフランチャイズではなく、自分の“好きなもの”を知ってもらいたい、中心市街地を盛り上げたい」という想いから、独自開業したのが〈Cafe&Bal Rōast〉。
看板メニューは自家焙煎の珈琲、毬姫牛のローストビーフ、青森県内外のクラフトビールで、これらは全て中村オーナーが好きなものなんだそう。
店名の「ロースト」は、珈琲豆を焙煎(ロースト)とローストビーフを掛け合わせたとのことで、ここにも中村オーナーのロースト愛が感じられますね。

カウンターにずらりと並ぶお酒のボトル。オーナーの趣味やセンスが感じられ、ラベルを見ているだけでどんな一杯に出合えるか期待感が高まります。

レジ横で販売するクラフトビールでは、珍しい品を見つけることができるかも。取材当日は、入手困難と言われる〈うちゅうブルーイング〉の国産クラフトビール「宇宙IPA」を発見しました!
知ってほしい! “地元青森県産の食材”
メニュー開発を担当するのは、店長兼シェフの小山内和希さん。中村オーナーの意見を取り入れながら、「地元の食材をもっと知ってほしい」と、青森県産、旬の食材を積極的に使っています。
例えば、ローストビーフに使用する〈八戸毱姫牛〉は、八戸市市川地区の〈イチカワファーム〉が育てるオリジナルブランド牛。野菜は地元産を取り揃える、おいらせ町のファーマーズマルシェ〈hitotsubu〉で仕入れているそうです。
今回はおすすめの3品をご紹介!(紹介する商品は全て税別価格)。

毬姫牛のローストビーフ丼1,290円。
ご飯の上一面に敷き詰められたローストビーフ。ほどよいサシが入ったローストビーフのピンク色、新鮮なレタスの緑色、ぷりぷりな卵黄の濃い黄色のコントラストが美しく、その華やかな見た目に思わず声がこぼれます。

毬姫牛本来の繊細な柔らかさと上品な旨みを引き立てるのは、自家製の赤ワインソース。そこにブルーチーズソースと卵黄が絡むことでマイルドな味わいに。
さらにはピンクペッパーのかりっとした触感と鼻に抜ける香りがアクセントとなり、レタスと一緒にさっぱりといただくことができます。

食後のほっと一息。

季節のフルーツパフェ790円。
季節ごとに内容が異なり、取材時(7月上旬)は青森県産「佐藤錦」を使用したさくらんぼパフェでした。
ソフトクリームとさくらんぼが贅沢に盛られ、その下にはグラノーラや生クリーム、スポンジケーキが何層も。食べる前からワクワクが止まりません。
さくらんぼのほどよい酸味がソフトクリームや生クリームの甘さと調和し、そのおいしさに思わず笑みがこぼれます。
食べ進めるうちに、ソフトクリームが下のグラノーラに浸透して、しっとりとした触感に変化。味と触感のグラデーションにより最後まで飽きずに楽しめました。
ちなみにこのパフェ、なんとメガサイズ(約10人前)もあります!

特別にグラスを見せてもらいました。右が通常のサイズ、左がメガサイズです。筆者は、石原裕次郎さんのものまねをする某タレントを思い出しました(笑)。SNS映えも抜群ですね!

自家焙煎珈琲 オリジナルブレンド350円。シュガーラスクがついてきます。
程よい酸味とコクが感じられるオリジナルブレンド。シュガーラスクと一緒にいただくと、そのやさしい甘さと珈琲の苦味が重なり、心地よい余韻が口の中に広がります。

カウンター席に座ると、サイフォンで珈琲を抽出する様子を目の前で見ることができます。間近で見るのが初めての筆者は興味津々で口をぽけーっと開けながら見入ってしまいました(笑)。
雑味がなく最後までクリアな味わいだったのは、これが秘訣かも。
日常と非日常が交差するこの場所で良い一日を。
〈Cafe&Bal Rōast〉が入居する〈はっち〉は、毎日のようにイベントが開催され、地元の方や観光客、子どもや大人など、訪れる人の属性や年齢層、時間帯までもがさまざまです。
お店では、一日の多様なシーンに合わせ子ども向けや時間帯ごとのメニュー、テイクアウトに対応していますが、これは「Gōōd Rōast Gōōd Days.」「ローストで良い一日を」という言葉を大切にしているから。
小山内さんは「地元の人には出勤前の珈琲や、帰りの一杯など、気軽に普段使いできる場所、県外の人には地域の食材を知ってもらい、おいしかったと思い出に残る場所を提供したい」と話します。
その言葉からも、訪れる全ての人が良い一日を過ごせる場所でありたいという願いが込められていると感じます。
焙煎の香りと共に、心に残る一日をこれからも。

取材時にとてもにこやかに対応してくれた店員さんと小山内店長(写真左)。初めての取材に緊張していた筆者にも優しく丁寧に寄り添ってくれるお二人でした。
今後について、「ずっと続けたい。出会いの場でもあるこの場所を大切にしていきたい。」と笑顔で語ってくれた小山内さん。
一杯の珈琲を丁寧に焙煎するように、〈Cafe&Bal Rōast〉は、今日も訪れるさまざまな人の心と時間にそっと寄り添ってくれるのでしょう。