〈みな実古琲店〉が美術館横へ移転! 地元を盛り上げる人形焼への情熱と共に【番町】

中心街の人気喫茶店〈みな実古琲店〉。2022年6月に三日町から番町へ移転しました。今回は、新しくなった〈みな実〉に行ってきました。人形焼のデラックス新メニューも、はちまちで初公開です!

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小田桐咲-amy-odagiri

1996年生まれ。直感と勢いで生きる牡羊座。青森県八戸市出身。5歳から武術太極拳(カンフー)を嗜んでおり、2019年の全日本チャンピオン。2026年のあおもり国スポでの優勝を目指し、20208月にUターン。『海猫ふれんず』として地元の情報も発信中。育ててくれた街や人に感謝して、その恩を返していけるように活動していきたいです。
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三日町から番町に移転! 〈みな実古琲店〉の新店舗

以前は、三日町に店をかまえていた〈みな実古琲店〉ですが、2022年6月に、〈コワーキングカフェ estacion〉の隣に移転しました。新しくなった店内に、さっそく入っていきたいと思います。

全面オレンジの壁面に、木目調のカウンターやテーブル席が並んでいます。カウンターには上品なティーセットが並び、昔風のレトロで優しい雰囲気を残したカフェバーのような空間になっています。

大きな窓から差し込む光は穏やかで、優雅なランチタイムやティータイムが楽しめそうです。

なんと、店内の奥には喫煙室も完備。扉で仕切られていることもあり、ライブハウスやプチパーティーなどを開くお部屋としても利用可能なスペースにしているのだそうです。

〈コワーキングカフェestasion〉や〈八戸市美術館〉と連携しながら、中心街の盛り上げに協力したいと語るのは、店長の須藤清文さん。
これまで以上に人が集まり、安らげる場所になること間違いなしですね。

 

地元スポーツの応援“運動”を。チームロゴ付きパンケーキにかける思い。

ところで、〈みな実古琲店〉といえば、焼印のついたパンケーキや八戸特有のキャラクターの形をした人形焼きが有名ですよね。朝市やスポーツイベントで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

現在あるパンケーキ用の焼印は、こちらの5種類。

上段左から、「ななっちふくちJr.アイスホッケークラブ」「東北フリーブレイズ」「ヴァンラーレ八戸」、下段左から「八戸ホワイトベアジュニア」「八戸Reds女子アイスホッケークラブ」のチームロゴ。すべて特注品です。

通常は、イベントや試合の屋台でパンケーキに焼印を押して、子どもたちに配っているそうですが、ここ数年は新型コロナ感染拡大の影響で、活動できていないといいます。
しかしながら、チームロゴのついたパンケーキを子どもたちに配ると、「僕のチームのパンケーキだ!」と大喜び。

チームロゴ付きのパンケーキは、子どもたちのモチベーションアップにつながったり、そのチームを知らない人たちにチームを知ってもらうきっかけとなったりと、地元スポーツを盛り上げるひとつの話題になっていきます。須藤さんにとっては、この話題づくりが目的なのだそう。

「儲けにはひとつもならないけど、これは応援“運動”だから」と語る須藤さん。

こういった運動を始めたきっかけは、3年ほど前、「八戸Reds女子アイスホッケーチーム」で活動していた選手の保護者から相談を受けたことでした。

「八戸Reds女子アイスホッケーチーム」の歴史は古く、30年以上活動しているアイスホッケーチーム。しかしながら、八戸市内でアイスホッケーが盛んになりチームが増えていくにつれ、他チームへと人が流れていき、「八戸Reds女子アイスホッケーチーム」に人が集まらず、大変な思いをしているというお話を受けたのだそう。

そこで「これは応援しなければ!」と、須藤さんの心に火が付き、できあがったのがチームロゴの焼印でした。
朝市や道の駅などで販売し、その売り上げから活動支援金として寄付するようになりました。さらに、はっちで活動応援コンサートを開催するなど、音楽も嗜む須藤さんの運動の幅は広がっています。

「筋肉は、運動し続けないとなくなってしまうよね。それと同じ。だから、どうやって運動を続けていくかを考えるのが大切なんだよ」

その場限りで終わってしまう“活動”ではなく、筋肉をつけるためにトレーニングを重ねるように、地域のスポーツを盛り上げるために、応援“運動”を続けていきたいと須藤さんは語ります。

自分のお店を持っている須藤さんは、お店を休みにしてまでイベントを開催することはなかなか難しくてできません。ですから、地域の若者やボランティアなどを集め、協力してもらえる人を巻き込みながら、運動を続けていくのが今後の展望です。

しかしながら、最近は、新型コロナ感染拡大の影響により、さまざまなイベントが自粛されており、思うように活動できていません。自由にイベントが開催できる日常が戻ってきた日には、また挑戦していきたいと考えているようです。

 

人形焼で地域の魅力発信! 情熱あふれる人形焼

「いかずきんズ」のこかぶくんとBuyはちのへマスコットキャラクター「うみねこはっぴー」。

〈みな実古琲店〉のもうひとつの売りである人形焼は、八戸の地元のものをテーマにつくられています。
朝市ではおなじみの「イサバのカッチャ」や、国宝指定された「合掌土偶」、八戸市のゆるキャラである「いかずきんズ」など、種類は全15種類!

なぜ人形焼をはじめたのでしょうか。それは、須藤さんの地元を盛り上げたいという情熱が原動力になっていました。

人形焼のモデルにもなっている八戸市のゆるキャラ「いかずきんズ」。

地元を盛り上げるためにも、地域に楽しいニュースが発信できたり、県外の方にも取り上げてもらえるような面白い話題をつくりたいと考えていた須藤さん。地元特有のお菓子をつくることで、ひとつの話題にできないかと考えました。

最初に考えたのは、たい焼きや大判焼き。

しかしながら、たい焼きや大判焼きは全国的にありふれていて話題になりにくそうと感じたそうです。そうして考えを巡らせているうちにひらめいたのは、人形焼でした。

人形焼は、東北地方ではあまり見かけず、流行にとらわれることもありません。何より“ご当地感”があって面白い。
そこで八戸市の人形焼を調べてみたそうなのですが、実に、ありそうでほとんどなかったのだそう。

誰もやらないのならば俺がやってやる! という熱い思いのもと、お菓子屋さんでもなんでもない須藤さんですが、人形焼の金型をそろえ、人形焼販売をスタートさせました。

人形焼の旗も、「いかずきんズ」のかぶさん、しまちゃんの名前を大きくし、「かぶしま」と目立つように改良。お客さんは「蕪島の人形焼がある!」と足を止めてくれるようになったといいます。

そこで今回、全15種類の人形焼を使った新たなスイーツづくりに挑戦したい! とのことで、長年、須藤さんが思い描いていたスイーツをその場でつくってもらうことになりました。イメージとしては、「人形焼のタワーのようなスイーツ」……!?

須藤さんがカウンターにて、手探りでつくっていく様子を私たちもわくわくしながら見守ります。一体どんなデラックススイーツができあがるのか……!

そして待つこと数分。完成しました〜と持ってきてくださったのがこちら!

で、でっかい!! しかし可愛い!!!

なんてボリューミーなスイーツ!!
これは2人……いや3人でも食べ切れるかどうか!!?

目の前に現れたスイーツに、私もカメラマンのなつめも大はしゃぎです。

〈みな実古琲店〉で販売されている人形焼の全種類を利用しているので、どこにどの子がいるのか探しながら食べるのも楽しいですね。
人形焼同士は生クリームで結ばれ、タワーの中はワッフルやアイスがぎっしり積まれています。

タワーのまわりを季節のフルーツが囲い、いろんな味を楽しみながら食べ進めることができました。

形やデザインは、これからもまだまだ検討していくとのこと。
どんな風に進化していくのか楽しみですね。

なんとこちらのスイーツ、まだ名前も企画も決まっていません!
それもそのはず、本日初めてつくってくださったのですから。

9月15日までにこちらの名前を募集し、選ばれた方には、なんと10,000円分の商品券をプレゼント!
選ばれなくても、銀賞は5,000円、銅賞は3,000円分の商品券のプレゼントがあるのだそう。

詳しくは、〈みな実古琲店〉のFacebook、もしくは八戸圏域の情報発信ユニット「海猫ふれんず」のSNSをご覧ください。

 

地域貢献活動を続ける店主が語る“商売の本質”とは。

本業である〈みな実古琲店〉の運営もさることながら、パンケーキや人形焼による地元を盛り上げる運動を続ける須藤さん。その運動を続けていくモチベーションは、いったいどこからきているのでしょうか。

ある日、須藤さんが参加した勉強会で、ひとつの問いを受けたそうです。
それは「あなたはなんのために商売をしているのか?」

勉強会に参加していた多くの人は、儲けるためや会社を大きくするためと回答します。しかしながら、長年商売を続けている須藤さんにとって、派手な組織改革や、飛び道具的な企画を行ったところで、そう簡単に儲けることも会社を大きくすることもできないとわかっていました。

では、何のために商売を行うのでしょうか。

須藤さんの答えは「続けること」でした。
自分の仕事をずっと続けていくために、商売をしていくのです。

そして、続けるためには、地域と連携して、持続できる店づくりをしていかなければなりません。
周りの人に応援される店、地域に貢献できる店、そういった店づくりをしていくことが、持続できるお店につながっていくのです。

では、現在の自分が持続できる店づくりをするために、地域に貢献できることは何かを考えたときに、須藤さんは「地元のものを形にしたい」と考えたそうです。
それが現在のチームのロゴ付きパンケーキや人形焼につながっているのですね。

地元のものを残すために、これからもずっと残るお菓子にしていきたいと語る須藤さん。人形焼によって、地元のものが残り、受けつながれていくことが、須藤さんにとっての“儲け”なのかもしれません。

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