保護猫カフェ〈C-ways cat coffee〉で猫さんと触れあおう。【柏崎】

八戸市内でも何軒か存在している猫カフェ。猫好きな方が気軽に猫と触れ合える天国のような素敵な場所ですが、みなさんは猫さんの幸せについて考えたことはありますか? 〈C-ways cat coffee〉は保護猫カフェです。地域で行き場のなくなった猫さんたちが集まる場所。猫さんのいのちについて、少し考えてみませんか。

writer
小田桐咲-amy-odagiri

1996年生まれ。直感と勢いで生きる牡羊座。青森県八戸市出身。5歳から武術太極拳(カンフー)を嗜んでおり、2019年の全日本チャンピオン。2026年のあおもり国スポでの優勝を目指し、20208月にUターン。『海猫ふれんず』として地元の情報も発信中。育ててくれた街や人に感謝して、その恩を返していけるように活動していきたいです。
Instagram|『海猫ふれんず』はこちら

あ〜〜〜、かわいいかわいい猫さんたちのいるカフェにまた来てしまいました〜〜〜!! ひゃっほ〜〜〜い!!!

スタッフのさくらさん。靴下をはいているようなお足元がキュート。

取材用のノートの上に乗られては〜〜〜! 取材ができないな〜〜〜! やらなくていいかぁ!!!

猫さんが耳を後ろに倒すのは怒っているサイン。

「何言ってるの? ちゃんと素敵な記事にしなさいよ。聖に言いつけるわよ」

はいっ、これから紹介させていただきます……。

紹介させる気あります……? 太めの尻尾がかわいい。

今回は、45号線沿いにある猫カフェ〈C-ways cat coffee〉にお邪魔しています。中心街からは表通りをまっすぐ道なりに進み、塩町の交差点の角にある店です。

実は〈C-ways cat coffee〉は、ただの猫カフェではありません。「保護猫」カフェなのです。

 

保護猫カフェって? 一般的な猫カフェとの違い。

キャットタワーがこんなに稼働しているところ、初めて見た!

八戸にも何軒か存在している猫カフェ。誰もが気軽に猫と触れ合える場として人気を集めていますが、〈C-ways cat coffee〉は保護猫カフェ。いったいどんな違いがあるのでしょうか。

保護猫カフェとは、その名の通り猫スタッフが保護猫のカフェです。保護猫とは、もともと野良猫や捨て猫だった猫のこと。猫と触れ合えるのは、一般的な猫カフェと変わりませんが、働いている猫スタッフたちはお店で保護した猫さんたちで、里親を募集しているという点で異なります。

真っ黒すぎて何がなんだかわからない。何がなんだかわからないのにこのかわいさである。

こちらのやまとさんは、〈C-ways cat coffee〉の社長のため譲渡不可ですが、やまとさん以外で約30頭いる猫さんたちは全員里親募集中!

現在は、一般の方からお電話をいただいた野良猫のみ、保護活動を行っているそうです。

猫さんたちのメンバー表。かわいい。

ちなみに、こちらの建物はオーナーの塩崎聖(きよし)さんが買い取ったのだそう! ですから、2階が自宅で1階が職場。朝になると出勤する猫さんたちが降りてきて、閉店すると2階に戻っていきます。寮完備、賄いつきなんて、猫さんたちにとっては最高の職場ですね。

家なのか職場なのかわからないだらしなさ。尊い。

料金は、最初の30分500円、以降30分ごとに400円ずつ課金されます。プラス1ドリンク制です。

〈C-ways cat coffee〉では、ドリンクにも力を入れています。

猫カフェではあまり見られない本格的なコーヒーが楽しめる!

猫カフェをやるからには、カフェの部分もしっかりやっていきたいと考えた塩崎さん。偶然通りかかった小中野の〈AMBER COFFEE〉が、スペシャルティコーヒーを取り扱っていると知り、ワークショップに参加しました。その後、弟子入りを志願しますが、「弟子はとっていない」と断られてしまいます。

しかし、そこで諦める塩崎さんではありません。次の日もまた弟子入りをお願いしにいったところ、塩崎さんの熱意が伝わったのか、弟子にしてくれることになりました。

そこからは多忙の日々。開店準備に、自力で内装を改装、コーヒー修行、子育て……と目の回る日々でしたが、無事に4年前にオープン。

そこまでして、なぜカフェ事業に力を入れたかったのでしょうか?

 

保護猫活動が、保護猫カフェへ。寄付金に頼らない、サステナブルな経営を目指して。

幼い頃から猫が身近だった塩崎さん。将来的には猫さんと楽しく暮らしたいと考えていました。しかし、大人になるにつれて、野良猫が社会問題になっていると知ります。

猫さんたちが困っている、猫さんたちのせいで困っている人がいると知り、個人的に保護猫活動を始めました。

オーナーの塩崎聖(しおざき きよし)さん。

会社勤めをしていた塩崎さんですが、もともと飼い猫だったやまとさんのコミュニケーション能力が高かったことや、さらにいろいろなタイミングが重なって、保護猫カフェの立ち上げを決心。しかし、立ちはだかるのはお金の問題でした。

法律上、猫さんはモノ扱いです。しかし、猫さんには命があります。保護し続ける以上、お金がかかっていきます。少なくとも一頭の去勢手術を行うだけで30,000円。その後の飼育維持費もずっとかかります。

多くの動物保護団体では寄付金などを募って活動資金に当てているそうです。たくさんの善意によって集められるお金もありがたいのですが、それでは持続性が見込めないと考えた塩崎さんは、自ら稼ぎ、自走できる運営体制が必要だと考えました。そのために、カフェ部分にも力を入れて、カフェで売り上げが出せるようにしたい、と思い修行先を探したのだそう。

入り口から入ってすぐのカウンター席。さっきまで猫さんがいたのに逃げられた……。

本当は、夜間帯はバーなどを開いて、単価の高いアルコール類の提供もできたら、と考えているそうですが、猫さんたちの負担とご自身のキャパを考えて、最初の一歩が踏み出せずにいると語る塩崎さん。

真剣になればなるほど、立ちはだかるのはお金の壁。愛だけでいのちを救えないのです。

 

理想の保護猫カフェは、カフェ自体がなくなること。

ガラスの向こうに猫さんたちが!

塩崎さんに、理想の猫カフェについて聞いてみると「保護猫カフェ自体がなくなるようにしたい」との回答。せっかく苦労して開業したのに、なくなるようにしたいって、どういうこと?

ここで、みなさんに問題です。青森県の猫の殺処分は年間どれくらいか知っていますか?

青森県動物愛護センターによると、令和4年度の殺処分頭数は全部で374頭。そのうち犬が36頭で、猫は338頭です。
年々減少傾向にありますが、それでもまだ、年間で300頭以上の猫が殺処分されているのです。

殺処分される猫さんたちを少しでも減らすために、塩崎さんは保護猫活動をしています。しかし飼い主のもとで正しく育てられていれば、保護されることだってなかったはずなのです。

「だからこそ、猫さんだけではなく、猫に関して困っている人間の手助けとなる活動もしています。人間が困るような状況にならないよう、できる限りのサポートはしていきたいです」と語る塩崎さん。

いつか“保護猫”というワードがなくなり、殺処分も限りなくゼロに近づけていくことを目指しながら、日々活動しています。

 

やっぱり猫さんはかわいい。いのちとともに温まる癒し。

そんなシリアスな面もある保護猫事情ですが、やっぱり猫さんたちはかわいいのです。

お客さんからプレゼントされたベッド。その方のおうちで飼われている猫さんは一度も座ってくれなかったのだそう……(笑)。

人間のエゴのせいか、はたまた何かの事情があったのか、外で大変な思いをしていた猫さんたちが、今はこうして〈C-ways cat coffee〉で、誰かの迎えを待っていると思うと、感極まって泣いてしまいます……。

「余計なお世話」くらいには思ってそう。好き。

あらためて猫さんたちの魅力を塩崎さんに聞くとこんな返答が。

「猫さんは人間に近いですよね。僕は困ったときはお互いさま、みたいな関係を築けていると思っていますが……、本人たちはどう思ってるのか(笑)」

保護猫カフェを開いているからといって、猫を“守ってあげている”という感覚はないのだそう。

「猫さんとの暮らしに、自分の生きがいや、やりがいをいただいています」と語る塩崎さん。猫さんだって、塩崎さんが自分たちが生きるための力になってくれているニャ、と思っているはず……! 知らんけど。でもそこもかわいい。

いろんな性格の猫さんがいて、自由気ままに、ギブアンドテイクのような関係性で生きているところが魅力的。

この日の気温は少し低かったためか、猫さんたちは陽の当たる暖かい場所で丸くなっていました。人間がいようといなかろうと、完全スルー。自分の時間を邪魔さえされなければいいといった感じです。はぁ、好き。

頭どこ? どこが何?

猫さんと触れ合うとき、大切な人と触れ合うように、その猫さんの幸せを考えてみてください。猫さんとの暮らしを検討している方は、結婚を検討するように、本当に猫さんを幸せにできるのか考えてみてください。

責任持って、最後まで猫さんと一緒にいられるという方はぜひ〈C-ways cat coffee〉へ。あなたのお迎えを待っている猫さんがいます。

もちろん猫さんと触れ合いたい方も! コーヒーでも飲みながら、じっくりゆっくり癒されてください。

筆者もいつか猫さんと一緒の暮らしをしていきたいです。だって、その方が絶対、人生潤うんだもの……! かわいいし、癒されるし、なによりあたたかい。いのちって、あたたかいんです。

お金と住む場所と……。「猫さんとともに暮らす計画」を頭の中で考えながら、筆者はお店をあとにしたのでした。

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